日英伊共同開発とGCAP

【概要】[1][2]
日本、イギリス、イタリアの3ヶ国は、次世代機の共同開発に合意した。その枠組みとしてグローバル戦闘航空プログラム(GCAP)を発表した。
GCAPは防衛力の強化、全世界での相互運用性の確保、産業や技術発展への貢献、独自の開発能力の維持に資する対等なものである。将来的な他国の参加にも門戸を開ける。
アメリカもGCAPを支持し、日本と戦闘支援無人機の共同研究を進める。
GCAPの思惑としては戦闘機を政治的ツールとした外交、コスト低減、内政圧力の回避、防衛装備の輸出促進、販路拡大等が考えられる。
開発体制としてGCAPによって3ヶ国が連携し、コンソーシアムやJVを形成して3ヶ国共通のプライムを作る。ワークシェアは2024年までに決める。
懸念として日本側の要求性能、改修の自由度、国内産業基盤の維持の可否があるが、何れも事前協議によって達成できる見込みがついたという。
機体についてデザインは最終決定しておらず、発表されたアートでは次期戦闘機に似たものと、テンペストに似た2種類がある。
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目次
1.経緯
2.発表内容
3.思惑
4.開発体制
5.疑問点
4.機体
5.感想
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↓に続く
【経緯】
日本は2020年からF-2後継機となる次期戦闘機の開発をスタートした。開発と並行してリスクやコスト低減から米英と国際協力を探った。一度はインテグレーション支援候補をアメリカのLM社(2020年10月)、搭載品共通化の検討/技術研究にイギリス(2021年末)という体制を決めた。しかしLM社の支援内容について折り合わず支援は白紙(2022年5月)となった。[3][4]
イギリスは2018年にテンペスト計画を立ち上げ、イタリアと共に要素研究や開発を進めてきた。計画の時期が近い日本とも2017年頃から意見交換をしていた。過去には次期戦闘機とテンペストを統合する動きもあったが、主導権を巡る対立や日本側の日米同盟の重視から頓挫した。[5][6]
そんな両国だが先のLM社撤退以後は急速に距離を縮め、22年7月には共通機体の開発が報じられるようになった。そして夏には日英共同開発がほぼ確定として報じられ、今回のGCAP発表に至った。[7]

英国が進めていたテンペスト
【発表内容】[1][8][9]
ここではグローバル戦闘航空プログラム(GCAP:Global Combat Air Program)に関する発表を要約する。
グローバル戦闘航空プログラムに関する共同声明
①安全保障環境が急速に悪化
②国際秩序の遵守を重んじる日英伊で2035年までに次世代戦闘機を共同開発する
③GCAPの取組はAUKUSと並んで重要なものであり、防衛力、技術力、防衛産業基盤の強化に資する
④人や技術への投資として産業経済的効果ももたらし、そのコストや利益は3ヶ国で分かち合う
⑤この戦闘機はNATOからインド太平洋の国際秩序を守る国々との相互運用性を有し、戦闘システムの中核として機能する
⑥2024年までにワークシェアや負担を決定
⑦GCAPの取組は地域の平和と繁栄に貢献する
次期戦闘機に係る協力に関する防衛省と米国防省との共同発表
①アメリカはGCAPの取組を支持する
②日米で戦闘支援無人機の共同研究を進める
【思惑】
理念は前項を参考するとして、GCAP設立された背景を以下のように考えた。
①戦闘機を政治的ツールとした外交
②コスト削減
③内政圧力の回避
④防衛装備の輸出促進(日本)
⑤市場の拡大(イギリス)
①だが理念の通り、幅広い相互運用性は共同対処力を、各領域を繋ぐ機能はネットワーク戦闘といった純軍事的な能力を高める。しかしそれだけでない。導入国は戦闘ネットワークの中核というクリティカルな箇所を任せる事と同義である。しかもその戦闘機は「国際秩序を守る国々で開発した」と宣言されている。アメリカの支持も取り付けた上で。
つまりGCAPは「西側お墨付きの正義の標準戦闘機」であり、導入国は政治的にも軍事能力的にも「私は西側です」と宣言する/させられるツールになりうる。「みんなで広げよう、国際秩序を守る国の輪」という政治戦略に大きく貢献し、導入国間での共同対処による抑止力も向上する。

ネットワークの中核となる次期戦闘機
②について3ヶ国ともに開発/導入コスト削減は重要課題である。基本的に同じ戦闘機を開発することで設計コストを分担できる他、多国間の導入で量産効果も見込める。次世代戦闘機が戦闘システムで重要な役割を果たす上でも、コスト高騰により生産数が減るのは回避したいだろう。
財政が厳しいイギリスと、防衛費は大幅に増えたがコスト圧縮が求められる日本という政治的背景もある。

調達数が段階的に減らされたF-2
③について高額な装備品は調達削減を目的とした内政的な圧力を貰いやすい。その点、共同開発は単独開発より内政的な圧力を回避しやすい。またGCAPの題目として「産業技術振興、人への投資」を含んでることから無駄な出費という批判にも言い訳が立つ。
④の防衛装備の輸出促進について、日本では防衛産業の撤退が相次ぎ、国側としても対策として輸出による生産数増加が課題であった。共通機体は1機あたりの担当範囲は減るが、多国間導入により担当企業にとっては生産数増加が見込める。
また世界屈指の軍需企業たるBAEの販路も行かせるため、次期戦闘機を足がかりにしつつ他の装備品への波及も期待できる。
さらにGCAPによって先の「西側お墨付きの正義の標準戦闘機」という性能以上の政治的アドバンテージも得られる。
日英伊導入よる価格低減や販路
↓
西側お墨付き←単価縮減
↓ ↑
輸出によって生産数増加
上図のように輸出やコストにおいても、共同開発-GCAPお墨付き-輸出-単価縮減によるシナジーも見込める。
⑤の市場拡大について、日英で防衛協力が深まればイギリスとしても米国軍需企業が独占していた日本市場にも食い込める。またアジア/オーストラリアに対しても、日本との相互運用性をダシにして日英共同開発の装備を売り込める。
【開発体制】
開発体制について航空新聞社によると3ヶ国の企業によるコンソーシアムやJVを設立し3ヶ国で共通のプライムを置く。以下に参加が確実/想定される企業を示す。
機体:MHI/BAE/Leonardo
電子機器:MELCO/Leonardo UK/Leonardo
エンジン:IHI/RR/Avio
また2021年末からの日英(今は日英伊)の共通化の共同分析を通じて実機設計チームが一体化しつつあるため、2023年からGCAPのチームとして統合する。[2]
【疑問点】
共同開発への懸念点として日本側の要求性能、改修の自由度、国内産業基盤の維持の可否があるが、何れも事前協議によって達成できる見込みがついたという。
要求性能:各国ともに要件を満たしつつ共通化の技術的な裏付けを確認
改修の自由度:日本が自身で好きなタイミングで改修できることを重視して協議し、3ヶ国で合意に至る
国内産業基盤:ワークシェアは未定であるがこれまでの議論で3ヶ国ともに維持できる確信を得た
次にテンペストへの参加が取り沙汰されたスウェーデンについては現時点でGCAPに参加することは無いという。ただし将来的なGCAPへの参加は否定せず、スウェーデン以外の他国にも門戸を開けるという。[2]
【機体】
現時点で2種類のアートが公開された。機体デザインや要求性能は最終決定していない。
これまでの類似点から大型のものをF-3仕様、小型のをテンペスト仕様と呼称する。なお両方ともにセンサーやネットワーク性能を重視する。[2]
F-3仕様

従来の次期戦闘機に似たモデル

従来の次期戦闘機モデル
大型で幅広いλ型の主翼、幅広い胴体、ラダーベータの採用、DSIの採用が特徴。尾翼は旧テンペストの位置関係に近い。
兵装数や航続距離を重視しており、主翼平面形やDSIの採用から高速度は妥協か。日本側の要求性能(兵装数、航続距離)が強く出ている印象。



その他のモデル
テンペスト仕様

新テンペストにそっくりなモデル

ファンボロー2022での新テンペスト

旧来のテンペスト
ファンボロー2022でお披露目されたテンペストにそっくり。というかほぼそのまんま。F-3仕様と比べ胴体や主翼幅が抑えられ、各種性能をバランス良く抑えてきた。

【今後】[2][8]
2024年から設計(詳細設計?)が本格化する。ワークシェアや費用の分担は24年までに詰める。
直近の2023年では開発チームをGCAPに統合し、コンセプトの検討や初期的な設計を進めた後に、基本設計から詳細な設計に進む。
日本はアメリカと2023年から戦闘支援無人機のAI技術で共同研究を始めるが、この分野でも英国との協力で話が進んでいる。
イギリスはGCAPの取組みと並行して兵装や無人機など追加機能の要件を検討する。
【感想】
多少は次期戦闘機について調べてきたつもりだったけど、予測は外れるものだと痛いほど痛感した。「日英伊で要求性能の統一はかなり難しいでしょ」と考えてただけに機体共通化の話はかなりたまげた。けど要求性能達成の技術的裏付け、改修自由度、ワークシェア等が確保されての計画統合なら悪くないなと思ったり。
GCAPへの感想としてはその辺の懸念点をある程度解決の見込みを立てた上で、2つの戦闘機開発計画を政治的ツールとして上手いこと昇華させたなというところ。
一定の生産数とコストを見込めるのが個人的に嬉しい。単独だとそこに不安を感じていた。しかし日本として初めての大型共同開発案件が次期戦闘機なので経験値的に不安がある。もう少しステップ踏めてたらと思うけどしゃーなしか。
ともあれGCAPの円滑な推進を願います。
出典
[1]グローバル戦闘航空プログラムに関する共同声明
[2]英国・イタリアと次期戦闘機の共同開発決定
[3]次期戦闘機(F-X)のインテグレーション支援に係る情報収集の結果及び次期戦闘機の開発に係る国際協力の方向性について
[4]〈独自〉次期戦闘機、日英共同開発へ、BAEと協力、伊も参加
[5]TEAM TEMPEST
[6]《独自》F2後継機、日米企業で作業部会 共同開発で最終調整
[7]日英、戦闘機開発計画の統合検討 年内の合意目指す=関係者
[8]PM announces new international coalition to develop the next generation of combat aircraft
[9]次期戦闘機に係る協力に関する防衛省と米国防省との共同発表

【概要】[1][2]
日本、イギリス、イタリアの3ヶ国は、次世代機の共同開発に合意した。その枠組みとしてグローバル戦闘航空プログラム(GCAP)を発表した。
GCAPは防衛力の強化、全世界での相互運用性の確保、産業や技術発展への貢献、独自の開発能力の維持に資する対等なものである。将来的な他国の参加にも門戸を開ける。
アメリカもGCAPを支持し、日本と戦闘支援無人機の共同研究を進める。
GCAPの思惑としては戦闘機を政治的ツールとした外交、コスト低減、内政圧力の回避、防衛装備の輸出促進、販路拡大等が考えられる。
開発体制としてGCAPによって3ヶ国が連携し、コンソーシアムやJVを形成して3ヶ国共通のプライムを作る。ワークシェアは2024年までに決める。
懸念として日本側の要求性能、改修の自由度、国内産業基盤の維持の可否があるが、何れも事前協議によって達成できる見込みがついたという。
機体についてデザインは最終決定しておらず、発表されたアートでは次期戦闘機に似たものと、テンペストに似た2種類がある。
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目次
1.経緯
2.発表内容
3.思惑
4.開発体制
5.疑問点
4.機体
5.感想
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苦行エースの軍事漫談#1
【エスコンX2+F-1縛り】
エースコンバットX2の軍事ネタもりもり、F-1縛りの実況動画あげてるから見てね!
この記事見るミリタリー好きの人なら大体満足すると思います!
↓に続く
【経緯】
日本は2020年からF-2後継機となる次期戦闘機の開発をスタートした。開発と並行してリスクやコスト低減から米英と国際協力を探った。一度はインテグレーション支援候補をアメリカのLM社(2020年10月)、搭載品共通化の検討/技術研究にイギリス(2021年末)という体制を決めた。しかしLM社の支援内容について折り合わず支援は白紙(2022年5月)となった。[3][4]
イギリスは2018年にテンペスト計画を立ち上げ、イタリアと共に要素研究や開発を進めてきた。計画の時期が近い日本とも2017年頃から意見交換をしていた。過去には次期戦闘機とテンペストを統合する動きもあったが、主導権を巡る対立や日本側の日米同盟の重視から頓挫した。[5][6]
そんな両国だが先のLM社撤退以後は急速に距離を縮め、22年7月には共通機体の開発が報じられるようになった。そして夏には日英共同開発がほぼ確定として報じられ、今回のGCAP発表に至った。[7]

英国が進めていたテンペスト
【発表内容】[1][8][9]
ここではグローバル戦闘航空プログラム(GCAP:Global Combat Air Program)に関する発表を要約する。
グローバル戦闘航空プログラムに関する共同声明
①安全保障環境が急速に悪化
②国際秩序の遵守を重んじる日英伊で2035年までに次世代戦闘機を共同開発する
③GCAPの取組はAUKUSと並んで重要なものであり、防衛力、技術力、防衛産業基盤の強化に資する
④人や技術への投資として産業経済的効果ももたらし、そのコストや利益は3ヶ国で分かち合う
⑤この戦闘機はNATOからインド太平洋の国際秩序を守る国々との相互運用性を有し、戦闘システムの中核として機能する
⑥2024年までにワークシェアや負担を決定
⑦GCAPの取組は地域の平和と繁栄に貢献する
次期戦闘機に係る協力に関する防衛省と米国防省との共同発表
①アメリカはGCAPの取組を支持する
②日米で戦闘支援無人機の共同研究を進める
【思惑】
理念は前項を参考するとして、GCAP設立された背景を以下のように考えた。
①戦闘機を政治的ツールとした外交
②コスト削減
③内政圧力の回避
④防衛装備の輸出促進(日本)
⑤市場の拡大(イギリス)
①だが理念の通り、幅広い相互運用性は共同対処力を、各領域を繋ぐ機能はネットワーク戦闘といった純軍事的な能力を高める。しかしそれだけでない。導入国は戦闘ネットワークの中核というクリティカルな箇所を任せる事と同義である。しかもその戦闘機は「国際秩序を守る国々で開発した」と宣言されている。アメリカの支持も取り付けた上で。
つまりGCAPは「西側お墨付きの正義の標準戦闘機」であり、導入国は政治的にも軍事能力的にも「私は西側です」と宣言する/させられるツールになりうる。「みんなで広げよう、国際秩序を守る国の輪」という政治戦略に大きく貢献し、導入国間での共同対処による抑止力も向上する。

ネットワークの中核となる次期戦闘機
②について3ヶ国ともに開発/導入コスト削減は重要課題である。基本的に同じ戦闘機を開発することで設計コストを分担できる他、多国間の導入で量産効果も見込める。次世代戦闘機が戦闘システムで重要な役割を果たす上でも、コスト高騰により生産数が減るのは回避したいだろう。
財政が厳しいイギリスと、防衛費は大幅に増えたがコスト圧縮が求められる日本という政治的背景もある。

調達数が段階的に減らされたF-2
③について高額な装備品は調達削減を目的とした内政的な圧力を貰いやすい。その点、共同開発は単独開発より内政的な圧力を回避しやすい。またGCAPの題目として「産業技術振興、人への投資」を含んでることから無駄な出費という批判にも言い訳が立つ。
④の防衛装備の輸出促進について、日本では防衛産業の撤退が相次ぎ、国側としても対策として輸出による生産数増加が課題であった。共通機体は1機あたりの担当範囲は減るが、多国間導入により担当企業にとっては生産数増加が見込める。
また世界屈指の軍需企業たるBAEの販路も行かせるため、次期戦闘機を足がかりにしつつ他の装備品への波及も期待できる。
さらにGCAPによって先の「西側お墨付きの正義の標準戦闘機」という性能以上の政治的アドバンテージも得られる。
日英伊導入よる価格低減や販路
↓
西側お墨付き←単価縮減
↓ ↑
輸出によって生産数増加
上図のように輸出やコストにおいても、共同開発-GCAPお墨付き-輸出-単価縮減によるシナジーも見込める。
⑤の市場拡大について、日英で防衛協力が深まればイギリスとしても米国軍需企業が独占していた日本市場にも食い込める。またアジア/オーストラリアに対しても、日本との相互運用性をダシにして日英共同開発の装備を売り込める。
【開発体制】
開発体制について航空新聞社によると3ヶ国の企業によるコンソーシアムやJVを設立し3ヶ国で共通のプライムを置く。以下に参加が確実/想定される企業を示す。
機体:MHI/BAE/Leonardo
電子機器:MELCO/Leonardo UK/Leonardo
エンジン:IHI/RR/Avio
また2021年末からの日英(今は日英伊)の共通化の共同分析を通じて実機設計チームが一体化しつつあるため、2023年からGCAPのチームとして統合する。[2]
【疑問点】
共同開発への懸念点として日本側の要求性能、改修の自由度、国内産業基盤の維持の可否があるが、何れも事前協議によって達成できる見込みがついたという。
要求性能:各国ともに要件を満たしつつ共通化の技術的な裏付けを確認
改修の自由度:日本が自身で好きなタイミングで改修できることを重視して協議し、3ヶ国で合意に至る
国内産業基盤:ワークシェアは未定であるがこれまでの議論で3ヶ国ともに維持できる確信を得た
次にテンペストへの参加が取り沙汰されたスウェーデンについては現時点でGCAPに参加することは無いという。ただし将来的なGCAPへの参加は否定せず、スウェーデン以外の他国にも門戸を開けるという。[2]
【機体】
現時点で2種類のアートが公開された。機体デザインや要求性能は最終決定していない。
これまでの類似点から大型のものをF-3仕様、小型のをテンペスト仕様と呼称する。なお両方ともにセンサーやネットワーク性能を重視する。[2]
F-3仕様

従来の次期戦闘機に似たモデル

従来の次期戦闘機モデル
大型で幅広いλ型の主翼、幅広い胴体、ラダーベータの採用、DSIの採用が特徴。尾翼は旧テンペストの位置関係に近い。
兵装数や航続距離を重視しており、主翼平面形やDSIの採用から高速度は妥協か。日本側の要求性能(兵装数、航続距離)が強く出ている印象。



その他のモデル
テンペスト仕様

新テンペストにそっくりなモデル

ファンボロー2022での新テンペスト

旧来のテンペスト
ファンボロー2022でお披露目されたテンペストにそっくり。というかほぼそのまんま。F-3仕様と比べ胴体や主翼幅が抑えられ、各種性能をバランス良く抑えてきた。

【今後】[2][8]
2024年から設計(詳細設計?)が本格化する。ワークシェアや費用の分担は24年までに詰める。
直近の2023年では開発チームをGCAPに統合し、コンセプトの検討や初期的な設計を進めた後に、基本設計から詳細な設計に進む。
日本はアメリカと2023年から戦闘支援無人機のAI技術で共同研究を始めるが、この分野でも英国との協力で話が進んでいる。
イギリスはGCAPの取組みと並行して兵装や無人機など追加機能の要件を検討する。
【感想】
多少は次期戦闘機について調べてきたつもりだったけど、予測は外れるものだと痛いほど痛感した。「日英伊で要求性能の統一はかなり難しいでしょ」と考えてただけに機体共通化の話はかなりたまげた。けど要求性能達成の技術的裏付け、改修自由度、ワークシェア等が確保されての計画統合なら悪くないなと思ったり。
GCAPへの感想としてはその辺の懸念点をある程度解決の見込みを立てた上で、2つの戦闘機開発計画を政治的ツールとして上手いこと昇華させたなというところ。
一定の生産数とコストを見込めるのが個人的に嬉しい。単独だとそこに不安を感じていた。しかし日本として初めての大型共同開発案件が次期戦闘機なので経験値的に不安がある。もう少しステップ踏めてたらと思うけどしゃーなしか。
ともあれGCAPの円滑な推進を願います。
出典
[1]グローバル戦闘航空プログラムに関する共同声明
[2]英国・イタリアと次期戦闘機の共同開発決定
[3]次期戦闘機(F-X)のインテグレーション支援に係る情報収集の結果及び次期戦闘機の開発に係る国際協力の方向性について
[4]〈独自〉次期戦闘機、日英共同開発へ、BAEと協力、伊も参加
[5]TEAM TEMPEST
[6]《独自》F2後継機、日米企業で作業部会 共同開発で最終調整
[7]日英、戦闘機開発計画の統合検討 年内の合意目指す=関係者
[8]PM announces new international coalition to develop the next generation of combat aircraft
[9]次期戦闘機に係る協力に関する防衛省と米国防省との共同発表
コメント
コメント一覧 (1)
英国が関わるのはともかくイタリアが来るのは予想外だなって私も思いました
hitomaru10
が
しました