試験的に、次期戦闘機(F-X/F-2後継機)の疑問を、管理人が答えてみるページを運用してみます。
...と言ってもさっぱりだと思うので、以下に詳細を説明します。質問は↓の説明を把握した上でお願いします。
なお回答内容は当然ながら「管理人の考え」ですので、事実と異なる場合もあります。
【1.ページの概要】
読者の方が本ページのコメント欄に
「F-Xに関する疑問・質問」
を投稿すると、本ページにて管理人がそれにお答えします。以下にその例を示します。
・コメント欄にて
C.F-XのLCC見通しはいつ頃決まりますか?
(↑は読者が本ページのコメント欄に投稿)
・本ページにて
Q.F-XのLCC見通しはいつ決まりますか?
A.当資料のP.82に
「開発事業の予算執行初年度末までにベースラインを定めるものとする。」
とあるので、令和2年度末(2021年3月末)にはLCC概算を出すと思います。
(↑本ページ中での管理人の回答)
【2.回答が難しい疑問】
Q&Aと言っても回答しかねる場合があります。それをいくつか例示します。
1.あまりに広範囲/ググればわかるもの
Q.F-Xて何ですか?
2.定義しかねるもの
Q.F-Xと〇〇はどちらが強いですか?
3.F-Xと全く関係ないこと
Q.ヤ〇ザキパンの食器て何で頑丈なの?
4.誹謗中傷を含むもの
Q.〇〇がF-Xは△△などとありえないことを言ってましたが、どうお考えですか?
5.他所様の発言や個人ブログ等からの直接的な引用(大手報道除く)
6.管理人の直接的な感想を求めるもの(あくまで事象に対する質問・疑問でお願いします)
7.内容がセンシティブなもの
【3.お願い等】
・読者お一人につき、1コメ1問/日でお願いします
・質問事項はなるべく1コメ1つにして下さい
・回答に数週間かかる場合もあります
・コメ欄には疑問のみ書き、挨拶や回答へのお礼等は省いて下さい
・他のページでコメントしても、本ページでは回答はいたしません
・レスバは荒れますので、他者コメントへの指摘等はお控え下さい
・成りすまし/荒らしはお止めください
・他所様の発言や個人ブログ等からの直接的な引用はトラブルに繋がりますのでご遠慮願います
・管理人は一般人ですので、間違いや答えられない時もありますがご容赦を
・答えられない質問は素直に「分かりません」の旨を掲載します
【4.最後に】
1ヶ月近く回答が無い場合は、【2】【3】のいずれか注意事項に該当するものとして不採用となります。
色々書きましたが、出来る限り回答したいと思います。お気軽に質問頂ければ幸いです。
【Q&A一覧】
Q.F-XはASM-3を搭載しますか?
A.ASM-3改については、記者会見で搭載が明言されています(これは管理人によるQ&Aの例)
追記:記者会見のリンク切れを修正しました
Q1.事前研究によるセンサ融合技術を発展させ、F-XがCOMINT(通信電波)/ELINT(非通信電波)/IMINT(画像)任務を行う可能性はあるか?
A1.公開資料でそれらを行うと明言されたことはありませんが、大いにありうると考えます。
平時かつ長期的なSIGINTは、受信帯域/利得や通信波の解析機材の搭載から、大型機が適しています。戦闘機のES装置は主にレーダ波や方位探知が主眼であり、主要な通信波たるUHF/VHF波の受信は重視しないかもしれません。
しかしF-Xは生存性から、大型機より脅威に接近しての電波・画像情報の収集が可能です。これらの情報は、戦闘(機上処理判断-EoR等)・作戦/戦役(地上解析-敵部隊配置による行動立案とその複合)の各階梯に資します。
同盟国含めたNCWの中心、電子戦能力の重視、センサ能力、ステルス、航続距離といったF-Xの戦闘性能・コンセプトは、上記の活動を示唆・転用可能と考えます。
Q2.2021年に確定するF-Xの動向は?
A2.以下に主なものを羅列します
・【1.ページの概要】からもF-XのLCC概算が決定
・エンジン開発担当企業が決まります
・MHIと開発支援企業候補のLMとで交渉が行われ、支援内容が決定します
Q3.F-Xの複座型は作られるの?
A3.前提として、現時点で外部から複座の有無は断言できません。その上でお答えします。
装備品開発に際し、空幕は運用構想や要求事項をまとめた、開発要求書を作成します(F-Xのは19年9月作成)。同書において各要求性能はA+(達成が必須)、A-(基本的に達成するが妥協余地有)、B(他との妥協次第で達成できたらいいな)の3段階にランク付けされます。
つまり要求性能でのランク次第― A+なら現時点で複座確定、A-なら高い確率で存在、Bならトレードオフ次第、記載なしなら複座存在は現時点で無しとなります。
ただ部外者は中身を知れない、開発要求は後日修正可能等から現時点-将来は何もわかりません。
管理人は
・戦術高度化(統合火器管制等)に伴うアビオ操作教育の複雑化
・無人機管制技術動向の対応余地と教育
・編隊内情報増大に伴う編隊指揮専任者の需要?
・単座でも可能だが、高等操縦課程にも転用できる
・保有数の数割が複座でも全体に対する増大数は僅か
等から、複座は作るべき-少なくとも設計時の複座改修余地の確保はB要求になると考えています。
Q4.F-Xのモックアップはいつ頃お披露目?
A4.断定はできませんが、2023-24年度頃と思います。
装備品の開発作業は大まかに、システム設計→基本設計→細部設計→製造-試験という手順を踏みます。
モックアップ作成には機体形状の確定が必要です。
FS-XやP/C-Xの事例を踏まえると、基本設計によって、システム設計での形状を精微化し、風洞試験等で検証します。前者2つも、基本設計完了時にモックアップが公開されました。
F-Xは22年度まで構想検討を行いますが、これはシステム設計に準じた内容です。また、24年度からは試作機製造(細部設計と製造を含む)に着手するため、23年度までに基本設計を完了させる必要があります。
よって、モックアップ公開は2023年度頃と考えます。
※基本設計とシステム設計は一体で扱われる場合があり、構想検討と基本設計期間が一部重複する可能性もあります。
Q5.日英F-Xでパーツ共通化のような、より深まる協力となる可能性はあるか?
A5.一部部品はともかく、主要構成品(レーダ/エンジン等)を丸ごと共通化する可能性は小さいと思います。
主要構成品の要求性能はシステム-基本設計で定めますが、共通化する場合は日英で要求をすり合わせる必要があります。しかし、F-X(大型制空戦闘機)とテンペスト(中型戦闘爆撃機)は要求性能が相当に異なるものと予想されます。
機体規模はエンジン推力/燃費に直結し、撃破目標/戦闘環境の差はセンサや火器管制能力にも影響を与え、異なる仕様のすり合わせは開発期間やコスト増大を招きます。
テンペスト計画の理念や、日本単独でシステム設計に着手していることからも、日英F-Xの無理な共通化は考えにくいと思われます。
違う視点では両計画とも自国主導を掲げており、開発経験や改修自由度からも、主要構成品は自国企業に任せたい意向はあると考えます。また空自/英空軍も自国技術に基づく要求見積りをしていると考えられ、過度な共通化は要求達成からも望ましくないと思われます。
主要構成品の共通化に否定的な考えを述べましたが、更に細分化した部品の共通化(エンジンのタービン静翼、補機等)は、コストや改修自由度にメリットがあれば実現するかもしれません。
※テンペスト計画の理念:必ずしも参加国でハードウェアを共通化する必要はなく、共同研究で得られた技術を自国向けに改修するといった形も認める。タイフーンでのハードウェア共通化と異なる仕様のすり合わせによる開発難航を反省したもの。
Q6.F-X随伴無人機の武装化と、それがF-15J後継機になる可能性はあるか?
(なるべく質問事項は1コメ1つに絞ってください)
A6.武装化はあり得ますが、随伴機がF-15Jを完全に代替するとは考えていません。
技術動向等から当分は、随伴機ができる戦闘行動は人間の操縦より劣ると考えます。仮に有人機編隊の一部を随伴機に置き換えても、戦術がそのままでは弱体化するだけです。
よって随伴機の価値とは大きく分類すると
・損耗(過酷環境)を許容する戦術/作戦が実行可能
・一部任務の代替で、有人機を他に有効活用できる
と管理人は考えます。
武装化については例えば
・AAM搭載機をできる限り敵編隊に接近させ発射
・ASMを射点まで運搬・有人機管制に基づき投下
が可能になれば有人機は、敵編隊の捜索、ASM運搬機の護衛、といった高度な任務に投入可能です。武装化は随伴機価値の発揮手段として有効と考えます。
しかし本邦の環境や随伴機の課題からも、随伴機と既存飛行隊でF-15J数個飛行隊が担っていた任務を完全に代替できるとは思いません。ただし、一般人が定量的な評価はできません。
戦闘機定数に囚われず、随伴機/戦術構想、負荷低減度、基地の出撃可能数、リソース等を勘案した機材所要数を算出すべきと考えます。
※本邦の環境:広大な領域に比して基地数が少ない、ハイエンドな敵との空対空戦闘が主軸
※随伴機の課題:現状では有人機の補完に留まる、空対空戦闘に耐えうる無人機の実現、価格の増大は損耗許容性を減じる、安価で数を揃えても基地能力によって出撃数に制約(有人機とも競合)、F-Xにずっと随伴するのか?滞空性をどこまで妥協するか?、空対空戦闘に必要な機能/滞空性が与える補完度合いのトレードオフ/機体規模/価格等の総合的な検討
Q7.F-Xへの国産兵装搭載に米国の許可が要るような事態になり得るか、また国産エンジンの技術成熟度合いは如何ほどか?
(なるべく質問事項は1コメ1つに絞って下さい)
A7.F-Xへの国産兵装搭載は余程の事がない限り自由に行えると思いますし、試作エンジンのXF9-1も現時点では順調なようです。
国産兵装搭載で関わる機体機器は大雑把に、センサ系統(探知データ取得)/捜索表示系統(目標/兵装選択、発射指令の入力)/火器管制系統(火器管制計算や武装の状態管理)が挙げられます。
上記機器系統は各種計算機で構成されますが、OFP(Operational Flight program)と呼ばれる各計算機内に組み込まれたソフトウェアが動作を制御します。
要は国産兵装が制御できるようにOFPを自由に書き換える権限があれば、自由に統合できます。事前研究からもOFPは国内企業が独自に開発製造する見通しです。
よってOFPの知的財産権は国内で保有することになり、国内で自由に統合できると思います。
XF9-1はドライ11t/AB15tの目標推力を達成しました。試験期間も当初予定通りであり、特に不具合は伝えられていません。
今後は試作/量産仕様のエンジンを製造し、試作機搭載に必要な予備定格飛行試験(PFRT)、量産機搭載に必要な認定試験(QT)をそれぞれ満たす必要があります。
※F-2ではMHIがLM社からライセンスを取得し、F-16のOFPを基に機能追加等の改修を加えています。ライセンス取得でOFPを弄る権利があるので、F-2の国産兵装統合は国内で自由に行える筈です。
※仮に米国の許可が必要となるのは、日本に知的財産権もライセンス範囲も無いOFP(F-35等)を上記系統に使用するような事態に限られます。
※PFRT/QTの他に、基本的なエンジン特性を把握する技術評価試験(EET)も存在します。これら試験は米軍規格のMIL-E-5000Dとその後継のJSSG-2007Aによって定義されています。なおXF9-1は両規格に基づき設計されました。
Q8.今後の交渉によっては最悪の場合、LMが開発支援を断ることはあるか?
A8.「破談可能性は0では無いが、それを防ぐために事前調整等は行っている」との回答になります。
海外企業からの開発支援についての情報収集(RFI発出)は過去に数回行われました。
LMは2016年のRFIに応じた他、2020年にはノースロップと共同で情報提供しました。
時系列は前後しますが、2020年5月からは日米企業協議を開始しました。この協議には日米政府の防衛関係者、三菱重工、米企業3社(ロッキード、ボーイング、ノースロップ)が参加し、オンラインで企業別に提供可能な支援策を協議しました。
このように情報収集や日米官民での事前調整は行っている他、LMもNGと共同で情報提供を行うなど積極性も見られます。
なお一部報道では、交渉が拗れた場合はLM以外の企業とも協議する可能性が報じられています。
Q9.F-XがJSMや1000ポンド爆弾等を内装する可能性はあるか?
A9.トレードオフ次第でそれらを内装する可能性はあります。
一般論として、制空戦闘機で航続/速度/機動性能を追求する場合は、軽量化や低抵抗化が望ましいです。重量物の内装は、空対空戦闘では無駄となる容積や懸架強度(重量)の増加に繋がります。
しかしF-Xはマルチロール機でもあり、過度な性能の追求は汎用性を失いかねません。武装毎の内装可否は開発要求書での記載事項と思われ、バーチャルビークル(VV)等を踏まえたトレードオフ次第で決まります。
管理人的には長距離AAMの内装余地等も踏まえると、JSMはギリ内装できる深さになると思います。
※制空特化のF-22でもAAMと射出型ランチャーを収める容積はあるため、1000ポンド爆弾程度なら内装は可能です
※個人による26DMUの解析ではJSMはベイにギリ内装できない程度ですので、十分にトレードオフの範囲内と考えられます
※バーチャルビークル(VV): 空自自身がF-Xの実現性や費用対効果の高い要求性能を導出するために仮想空間上で設計した機体。将来戦闘機の技術的成立性に関する研究(H27-29)で作成。
※VVの作成手順: 任務分析→機体コンセプト/要求性能設定→技術的成立性(重量排熱等)を考慮したデジタル設計→風洞試験等による設計検証→模擬戦闘による、要求性能・設計が戦闘に与える感度分析→模擬戦闘結果を踏まえた設計改訂
Q10.エンジンノズル形式はまだ決まってない?
A10.ノズル形式(通常、2D、3D等)は機体設計の一部であるためまだ確定していないと思われます。
ノズルは一般的に各種ステルス性や重量、価格、推力等に影響を与えるため、構想/基本設計での風洞/RCS試験やシミュレーションによる検証が必要です。
21年2月現在は構想設計開始から1ヶ月程度であるため、検討途上と考えられます。
3Dノズルの要素研究は設計自由度/手段確保が目的であり、実機採用を確約するものではありません。なおVVではノズル形式も検討対象ですので、性能等のトレードオフは事前に行われているのも事実です。
※ノズル及びパドルの違いとして、パドルは推力偏向機能のみ、ノズルは推力調整用に排気開口面積の拡大-縮小(C/D)も可能な点が挙げられます。
※X-2は3Dパドルに加え別途C/Dノズルを備えます。F-22はC/D機能も備えるため、2次元ノズルに分類されます。重量や整備性からもF-Xではパドルは採用されないと思われます。
Q11.LMとNGの持ち味と支援内容は何が考えられるか?
A11.LMは機体設計/システム統合経験、NGはアビオニクス設計統合が持ち味と考えられます。
前提としてLM陣営は「インテグレーション支援企業候補」であり、本回答はその文脈に絞ります。「相互運用性の確保」「サブシステム毎の協力」の観点については全体支援とは別個に検討されているからです。
LMはF-35等のステルス戦闘機の開発経験が豊富です。機体設計やミッションシステム統合、各開発担当(機体屋、エンジン屋、アビオ屋etc)との調整等に深い知見を持ちます。またF-Xではデジタルエンジニアリング(モデルベースドデザイン等)を活用しますが、この手法での開発経験でLMには一日の長があります。
よって内容としては日本側の設計の妥当性審査/助言や先進手法による開発マネジメント支援が考えられます。ステルス機開発経験に基づく仕様調整、CFDによる機体形状の検証、重量配分や機器配置、試験での不具合対処、各開発担当間のリソース配分への助言等が挙げられます。F-2では、MHIによるインテーク改設計をLMでも検証し妥当性を確認した事例があります。
NGはF-35やB-21での、センサ融合やOAを活用したアビオニクスの設計統合経験が強みです。
F-Xのミッションシステムは各種センサ/DLの融合やOAの適用が謳われています。F-35では複雑なミッションシステムの構築が開発遅延の主要因でした。
支援内容についてはミッションシステム/OFPの構成や機能、実機環境下での不具合改善策の助言等が考えられます。
Q12.F-Xに機銃は搭載されるか?
A12.スクランブルでの警告射撃用に搭載できるとは思いますが、内装かガンポッド式になるかはわかりません。
VVの検討では機銃を必ず搭載(内装)する旨は書かれていません。VVの戦闘シミュレータによる、機銃の有無での戦闘能力/コスト/機器配置余裕のトレードオフ次第と思われます。(これもQ3.での開発要求書でのランク付け次第です。)
管理人の意見としてはBVR戦術や短距離ミサイルの発達で機銃の価値は低下しており、必ずしも内装する必要は無いと考えます。現に近年になってJ-20等の機銃を内装しない戦闘機も登場しています。
格闘戦は「ネットワーク戦闘による数的不利の打開」という此方に有利な戦い方ができないため、なるべく生起させない/特化しないのが望ましいと考えます。
ただしステルス機同士の場合、探知時には格闘戦距離に接近しているといった事態も考えられるため、戦闘シミュレータによるその発生確率等の評価も必要と思います。
Q13.F-XのAAM内装数がF-22を上回る可能性はあるか?
A13.開発要求書での内装要求数次第ですが、あり得ると思います。
VVでは内装数も検討対象であり、戦闘シミュレータでは1機につきMRMx8+SRMx4が模擬搭載数の上限です。
しかしこの数は敵機のも含む他、上限数はメーカーとの協議で変更できるため、AAM内装数を決定づけるものではありません。
個人的には数的不利及び統合火器管制(IFCS)によるセンサ/シュータの分離を鑑みると、シュータ機に投射需要が集中-単機搭載数が求められると思います。DMUの変遷でもMRM内装数は4→6発へと増加傾向を示していました。
ただし戦術の差異による射耗数の変動や、IFCSは編隊内の弾数リソース管理も行うため状況によって単機要求数は変わるかもしれません。同一機材で特性の異なるセンサ機(滞空・生存性重視)とシュータ機(搭載量重視)を担うためトレードオフも必要です。
F-22と同様の配置なら、MRMx6-8/SRMx2程度が現実的な搭載数と考えます。
Q14.F-Xの輸出需要はあるか?
A14.純然たる戦闘機としての需要は相当限られると思います。
管理人の主観ですが、F-Xのコンセプトを表すと「重制空ISR機(MiG-31/F-15/F-35の合の子)」です。ネットワーク戦闘の中心となって数的不利でもステルスFiを撃破し、一定のマルチロール能力も備えます。
よって輸出でのセールスポイントは、長大な脚、対ステルスFi戦闘、高性能センサ、一定のマルチロール能力となります。
しかし戦闘機輸入国で「既存機(F-35も含)では制空/対ステルスFi能力や航続距離に不満足」という条件を満たすのは相当に限られます。また前述条件が揃っても政治的に売れない国(イラン等)もあります。
これらを踏まえて主観全開で輸出候補を挙げます。
・東南アジア諸国:中国の脅威はあるが輸出利益や価格、政治的に厳しい面も
・インド:中国脅威もあり比較的価格面も許容できるが露との繋がりや輸出交渉が難しく一筋縄ではいかない
・中東親米国:イラン等の脅威もあるが、F-35より更に制空寄りの機材を求めるかは不明
・イスラエル:UAE(F-35導入国)と国交を樹立したが潜在的な脅威として対F-35機材の需要可能性? 攻勢対航空が中心だが制空機(F-4/F-15A)を長距離爆撃に転用した事例も F-Xの爆装量や政治的な制約も存在 米国次世代機次第でも変化
・オーストラリア:かつてF-111を運用し、長距離機材の需要が根強く存在 同じくF-Xの爆装量の制約やB-21の売却可能性も
そもそもF-Xの運用環境/構想が西側では異端であり、生産数を増やすなら輸出はアテにせず、F-15JMSIPの後継を狙うのが懸命であると思います。
※重制空ISR機
重:長大な航続距離/重武装/一定のマルチロール能力
制空:対Fi戦闘での敏捷性/空中撃破/敵A2AD環境での生存
ISR機:高性能センサ/ 全体ネットワークでの眼/機上での統合処理
Q15.F-XによるMSIP機更新はJSI化遅延を穴埋めできるか?
A15.F-X追加導入とJSI化は関連性が低いと思われます。
JSIは要撃戦力のストップギャップ及び長距離投射戦力の一翼を担います。JSI化は言わば「金で時間を買う」事業です。
F-Xは2030年代以降の配備であり、早期実現という点でJSI代替にはなり得ません。JSI化を断念-浮いた費用を活用したところでF-X早期開発完了・導入には繋がりません。F-XによるMSIP機更新はJSIとは別の文脈となります。
代替手段として4.5世代機(F-15EX等)の新規導入は、改修よりコストがかかる上に運用寿命を残したまま性能寿命が尽きるため望ましくありません。F-35のこれ以上の追加導入も機種構成が大幅に偏る弊害を無視できません。
私見としてはコスト増を偲んだ上でJSI化を行うか要撃能力のみに絞っての改修が望ましいと思います。
※長距離投射能力は要撃性能寿命後の転職先も兼ねる
※実現時期の差からJSI費用をF-X導入に回せない
※F-35追加導入の弊害:飛行停止の影響、性能陳腐化時の全体への影響、更新時期の重複、敵の対策容易化(単機種に念頭を置ける)
※要撃能力のみに絞る:スタンドオフ能力は12SSM能力向上型等の代替策もあるため
Q16.F-Xの量産単価はどのくらいと予測されるか?
A16.現時点での正式な想定単価は不明ですが、150億円付近、天井は200億円未満だと思われます。
150億の数字については「100機程度の取得に1.5兆円」「将来戦闘機の想定目安単価が150億円」等の防衛省の見積もりが一部で報道されています。
200億円未満と天井を設けたのは、LM案(70機生産-単価240億、140機生産-単価210億)に対し防衛省が高額すぎると難色を示した報道があるためです。
F-XのLCCは開発着手年度末(2021年3月末)までに策定されるため、2021年夏のプロジェクト管理資料に生産数及び生産コストが記載されると思われます。
開発の進捗によって見積りからどの程度、実際の量産価格が変化するかは未知数です。
※プロジェクト管理資料での生産数はLCC算出上の目安であり将来の導入数を確約するものでは無い
※生産コスト÷生産数で概ねの量産価格が算出可能
※開発着手前に官側は、開発見積りや開発要求で期待量産価格を設定する
Q17.F-Xの単価が150億円では調達数が減らされる可能性が高いのではないか?
A17.単価のみで現時点で調達数の削減可能性が高いとは言い切れません。
調達数は戦略環境、戦力的な重要度、取得リソース、経済状況等の様々な影響を受けます。また取得コストは持続的な調達ができるように設定されます。
具体的な金額としては、F-Xの単価150億円で年6機調達であれば単年度調達費は900億円となります。
ここで近年のF-35調達実績を挙げると
・2015年度1032億円:F-35Ax6
・2016年度1081億円:F-35Ax6
・2020年度1074億円:F-35Ax3/F-35Bx6
と単年度1000億円以上の年もあり、F-Xの単年度900億円は過去実績からも実現範囲内と言えます。
一時的とは言え、F-35の調達(年平均926億円)と並行してF-Xの開発費(年平均1000億円)も計上します。両機の調達が殆ど重複しないのを鑑みると、F-Xの単年度調達費(900-1000億円)は十分に計上できる範囲内と考えます。
絶対値的な費用だけでなく、F-Xはプロジェクト管理重点対象装備品であるため、単価やLCCが見積り範囲内で収まっているか等も取得計画に影響を与えます。
運用上の観点ではF-2の時点で予備機を相当数削減しているため、これ以上の機数削減は難しい面もあります。3個作戦飛行隊分は維持した上で教育飛行隊分を削減した場合、1個作戦飛行隊が教育も兼ねることになり有事稼働数が現行よりも減少します。
F-2機数未満のF-Xで、空対空戦闘を主軸とする本邦の防衛所要を満たせるかは極めて懐疑的と考えます。
※F-Xの年6機の調達ペースはF-35を参考とした
※F-Xの15年間の開発費を1.5兆円とした
※20年度のプロ管資料では2032年頃までF-35ABの調達を実施
※年平均926億円:F-35ABの11年間の残り調達費は10181億円であるため
※年度見積りの平均量産単価/単位事業取得コスト/単位LCCが
現行見積り115%当初見積り130%以上→取得計画の見直しについて調整
現行見積り125%当初見積り150%以上→取得計画の継続必要性を検討
Q18.F-Xの初飛行は2027年頃か?
A18.現時点での初飛行時期は2028年です。
昨年の防衛省資料では2027年から地上試験を開始し、翌年の28年から飛行試験を行う予定となっています。
Q19.F-Xの要素研究のうちEO-DAS的なものはあるか?
A19.分散配置されたEOセンサの映像をHMDに投影しMWS等の状況認識機能を提供する意味であるなら、「将来ミサイル警戒技術に関する研究」が該当します。
本研究では以下の機能が目玉として挙げられます。
・分散配置された2波長IRセンサによる全周警戒
・頭部指向方向に応じたHMDへの統合画像の表示
・ミサイル等の脅威赤外線光源の長距離探知/追尾
・各種赤外線光源の識別/脅威度判定
・統合画像への追尾及び脅威度判定結果の重畳
研究序盤では地上試験用のIRセンサ等が試作され、研究中盤から2021年現在まではC-2 201号機に機材1式を搭載した飛行試験を行っています。
戦闘機への適用としてセンサ光学窓のRCS試験や、センサ搭載構想の検討もされています。短距離ミサイルの照準等のMWS以外の機能の実装は実機要求次第と思われます。
※統合画像:複数台のIRセンサからの画像を、歪み補正等をかけて1面化した画像
※搭載構想:一般に23-26DMUで知られるDMUを用いた、全球覆域可能なセンサ搭載位置/信号処理-電源部の搭載位置/冷却方法/消費電力及び重量 等の検討
Q20.F-Xと無人機はどのような方式で通信するか?
A20.質問での無人機の形態は測りかねますが、近距離高速(ミリ波DL)と遠距離低速(Link16等)の2本立てと考えます。
「支援機技術の研究」では、有人機から無人僚機への指令が構想されています。必然的にLOS通信になる他、実用段階では射撃データのやりとりも考えられるため高速低遅延なデータリンクが適しています。
F-Xには統合火器管制用のミリ波通信機が積まれるほか、相互運用性からMADLも搭載する可能性もありそれらが無人機との通信に利用されると思います。
F-X編隊が直接管制しない無人機(海洋監視機等)であれば、広域データリンクたるLink16が有力と考えます。無論、ミリ波通信機やMADLが標準搭載となれば状況に応じてそれらの活用もみこまれます。
Q21.F-Xのパイロット育成にはシミュレータとT-4後継機のどちらを用いるか?
A21.将来の教育体制にもよりますが、シミュレータと訓練機は対立項では無く相互補完的と考えます。
シミュレータは飛行前操作の習熟化促進や飛行時間削減による教育費低減が主な利点です。訓練機/実機カリキュラムの一部実施であり、完全な代替ではありません。
米空軍のF-35でも教育でシミュレータも活用してますが、T-7AのようなLIFT機導入やルーク空軍基地のF-35実機訓練飛行隊も運用しています。
※T-4後継機の方向性は質問内容から逸れるため、必要があれば別途質問してください。
Q22.有力なF-Xの配備基地はどこか?
A22.機材の更新/減勢等で配属も変わるため一概にはいえませんが、当分は新鋭機扱いのため仮想敵正面より後方(築城・百里等)になると思います。
まず将来機材(F-X、F-35、F-15JSI)の役割分担を以下のように考えました。
・F-X:戦域を支える制空機-3SQ
・F-35:反撃戦力の要の戦闘爆撃機-6SQ
・F-15:鳴子兼ミサイルキャリアー-4SQ
よってF-15は那覇・千歳に残しつつ、F-XとF-35は地理的特徴に応じて後方に配備します。
三沢は2SQが配備予定の他、F-35の地上訓練拠点が整備されるためF-Xの配備は考えにくいです。
新田原はF-35B配備が取り沙汰されており集中運用する場合は2SQとなります。
築城は主戦域たる南西方面の後方拠点であるため有力なF-Xの配備先(2SQ?)です。
百里は太平洋に進出しグアム等を脅かす中国爆撃機等に警戒できるため、F-X配備先の候補(1SQ?)と考えます。
小松は南北両方に対応できる他、縦深もあるためF-35が2SQと考えます。
F-15JSIは退役間近まで敵正面-スクランブル用に維持すると思いますが、改修内容/日程の変化で運用期間に変更(F-Xで早期代替)する場合は、F-Xが仮想敵正面にも配備されることになります。
Q23.先進エアデータセンサ(AADS)の技術的な特徴は何?
A23.AADSはピトー管での計測が難しい高迎角時のエアデータを算出する技術です。
通常、機体のエアデータ(対気速度、横滑り角、仰角等)はピトー管に流入する気流から直接計測します。しかし、高迎角時にはピトー管から気流が剥離するため正確なエアデータの直接取得が困難となります。
そこでエアデータを直接計測せずとも航法速度と風から間接的に算出するのがAADSとなります。以下に具体的な手順を説明します。
・1.ピトー管で低仰角時に風を計測
・2.航法速度を迎角に依存しないGPS/INSで計測
・3.航法速度をGPS/INS、風を低仰角時に取得したものを用いて高迎角時のエアデータを算出
AADSのイラストを用いた説明や試験結果等はこちらの資料を参考にして下さい。
Q24.無人随伴機は翼下懸架型のステルス機となるのか?
A24.ステルス機ではありますがおそらく地上発進型になると考えます。
低観測性による戦術的な優位・F-X(ステルス機)との連携から、無人随伴機にもステルス性は求められると思います。ATLAの無人装備ビジョンでは無人支援機へのステルス性の適用が記述されています。
発進形態についてはまだ確たる事は言えません。2018年半ば頃には、ステルス機探知のため翼下懸架型のUAVが構想されているとの報道(読売:2018.04.21)もありました。
しかし翼下懸架型は以下のようなデメリットを抱えます。
・母機の耐荷重制限
・懸架時のクリアランス
・↑からの機体規模と容積等の設計制限
・発進数の限定
・母機ステルス性の減少
・母機行動の制約
以上を鑑みると、一定度の滞空性が求められる無人随伴機は比較的制約の少ない地上発進型が望ましいと考えます。
Q25.F-Xに極超音速兵器は搭載されるか?
A25.戦闘機搭載型の極超音速兵器について情報がほぼ無いのでわかりません。肯定も否定もできません。
Q26.F-Xにどのような指向性エネルギー兵器(DE)がいつ頃搭載されるか?
A25.HPMは高出力レーザーより高い確率で搭載すると考えます。実現時期について、HPMは2030年代後半-2040年代前半にかけて、高出力レーザーは搭載するにしても2040年代以降になると考えます。
・HPM
「高出力マイクロ波装置の研究試作」でTWT-AESAを用いた戦闘機搭載型の技術検討が行われています。報道でもF-Xへの搭載が言及されました。またHPM装置はハードウェアを高出力レーダと兼用できるため実装難易度も低めです。
しかし「先進統合センサ」で試作されたGaNレーダでは実現しておらず、この流れを汲む当初装備のレーダではHPM機能を実装しないと考えます。将来装備ビジョンでは航空機搭載型装置は2030年代頃の実現を見込んでいます。
実装する場合は先述のTWT-AESAや別の次世代半導体の技術動向を踏まえた上での判断になると考えます。
・高出力レーザー
「将来戦闘機ビジョン」では2040-50年代頃の実現とありましたが、将来装備ビジョンでは航空機搭載型は言及されていません。HPMと違い専用の照射装置も必要であり、搭載するには小型化や効率化が必須です。
最も先進的なアメリカ空軍のSHiELD(航空機搭載電気駆動型レーザーの研究計画)も技術課題等から計画が遅延しており、有効性に疑問を持つ声もあります。
ある程度技術的目処の立っているHPMと比べると、高出力レーザーの航空機搭載はそれより後になると考えます。
Q26.F-Xの無人化は構想されているか?
A26.防衛省が無人化F-Xを検討してるかは不明です。ただし航空新聞社の記事には無人化を検討する一文が掲載されてます。
Q27.無人機への武装化はされるか?
A27.本ページA6を参照して下さい。
Q28.F-Xへのアダプティブエンジン(ADE)の搭載は何時か?また可変サイクルエンジンとの違いは何か?
(小分けにしてもいいので質問事項は1つに絞って下さい)
A28.ADE搭載機を最初から配備するのは時間的に厳しいと思います。
ADEについて「XF9-1のアダプティブサイクル適用に関する技術的検討作業」が実施されています。このことからXF9-1でADE技術を実証した後に、F9系エンジンを流用した改造機の搭載が予想されます。
ADEの技術実証と搭載型の開発試験に各5年-約10年かかるとすると、エンジン設計作業が一段落する25年から着手しても試験完了は35年頃となります。量産開始は31年を予定しており、組立等を考えると35年配備は厳しいと考えます。
よって初期の1・2個飛行隊分はは非ADE搭載機としつつ2040年頃配備機から搭載していくと思います。
(管理人の認識では)ADEは第3流を追加し速度に応じて各流路への空気流量を調節することで低燃費化を図ったエンジンと認識しています。YF120等の可変サイクルエンジンはバイパス経路の開閉で速度に応じ、ターボジェットとターボファンの2モードを選択可能なエンジンという認識です。
Q28.F-Xの塗装に洋上迷彩が採用されるか?
A28.塗装は全く情報がありませんが、管理人の考えとしてはイベント以外で洋上迷彩が使われる可能性は小さいと思います。
ステルス機表面には電波吸収塗体(RAM)やが用いられますが、炭素系の素材故に色は黒〜灰色となります。このためステルス性から洋上迷彩に必要な青色塗料を使用するのは難しいと思われます。
F-2の洋上迷彩は対艦攻撃時に洋上低空を飛ぶ機体の上空からの視認性を下げる効果があります。しかしF-Xは高空での制空性能を重視しており、空に溶け込む灰色系の塗装が適します。対艦攻撃戦術も長距離ミサイルによる敵防空火器射程外からの高空発射に移行しつつあるため、洋上低空で肉薄する機会が減ると予期されます。
従ってステルス性と飛行高度の観点から洋上迷彩は採用されにくいと思います。
Q29.F-Xの推定全長/空虚重量はどのくらいか?
A29.例によって公式情報がないため管理人の個人的な意見になりますが、空虚重量は20t以上、全長は19m後半-21m未満になると考えます。
空虚重量は「日本の研究は空虚重量20tを超える非常に大きな戦闘機が必要と示した。航続距離とウェポンベイの大きさが鍵となる。」と報じられています。「日本の研究」については、機体規模検討等の内容からVV周りの情報と思われます。
全長推定は機体構造によって範囲が変動します。最もコンパクトなF-22式と全長が嵩張るFB-23式の機体構造を検討すると、全長根拠は以下のようになります。
・26DMU(推定19m弱)より大型化?→19m後半以上
・FB-23式の機体構造→20m後半は必要(独自研究)
航続/AAM搭載数の重視や制空戦闘での速度/機動性確保を考えると、19m後半-21m未満の範囲が妥当と考えます。
※見積りにあたってベイは4m級x2、エンジンは5m前後とした
※F-22(並列ベイ/S字ダクト)、Su-57(エンジン間の縦列ベイ/ストレートダクト)、FB-23(エンジン前の縦列ベイ/後部湾曲ダクト)
Q.30 RRとIHIで共同開発したエンジンが双方で採用されことはあるか?
A.30 日英間のエンジンの協力内容は不明な点が多いですが、エンジン全体の共通化は考えにくいと思います。
防衛省はコスト削減や技術リスク低減から日英協力を検討してますが、どのような協力形態を想定してるかはこれまでの報道からも不明です。各社で報じられた「共同開発」も、完全に共通化するのか、発電機等で一部参画するのか、技術/研究協力程度なのか、が明確でなく非常に曖昧となってます。
現在は機体の構想設計の一環としてエンジンの要求推力/規模を検討してると思われ、当然性能見積もりにはXF9-1の成果を反映してると考えられます。また、2022年からエンジンの基本設計、2024年からは詳細設計及び製造に入り、飛行試験が始まる2028年までにPFRTを完了させる必要があります。よって、設計から基本的な特性把握までに数年かかる新型コア/エンジンを開発する時間的余裕は殆ど無いと思います。日英双方のワークシェアや要求性能の違いを鑑みても無理な共通化は避けると思います。
個人的には日本が素材技術やタービン等の部品供給と引き換えに、英国は自らが強みを持つ内装発電機への設計製造への参画といった協力形態になると考えます。
※英国側は日本の素材技術に注目してると報じられてる
Q.31 F-Xのイメージ図から航続距離や搭載量重視が見て取れるがその理由は何か?
A.31 航続距離は広大な領域をカバーするため、搭載量については数的不利や無人機への対処が念頭にあると思います。
航続距離について、日本が広大な領域を有し戦闘機がそれをカバーするのは論を待ちません。また空中給油の負担軽減や、CAPでの余裕を持った展開判断、同時在空数を増やせるなど様々な利点があります。
搭載量については先述の通り、数的不利や無人機への対処から主にAAM本数を増やす方向だと思います。統合火器管制によってセンサ機とシュータ機の役割分担が進む分、単機の発射数も求められると考えます。
Q.32 XF9-1の試験で用いた高空性能試験装置はXF5級が測定性能の限界であるが、どのように試験したか?
A.32 ATF装置の測定性能内で試験したと思われます。
ATFの性能向上はここ数年で大型エンジン試験装置として契約されたばかりです。少なくともXF9-1では供給可能な流量(推力)内で試験したと思います。
Q.33 財務省の「新型機は小型化の傾向にある」とする資料は開発作業にどのような影響をもたらすか?
A.33 基本的に何の影響も無いと思います。
次期戦闘機の形態に影響を及ぼすのは官側の仕様書ですが、財務省は直接それの改訂に関わる権限を有していません。間接的に官民担当者へのコスト削減圧力となって構想設計での機体案選定に影響するかもしれませんが、そもそもコスト重視は長年の傾向でありこの資料単体で左右されるという可能性はほぼ皆無と考えます。
Q.34 F-XとF-35の統合火器管制機能は何が違うのか?
A.34 空対空戦闘かつ戦闘機間で統合火器管制を実現できるかできないかとなります。
防衛省はF-Xの統合火器管制について、目標と連携相手が高速で機動する戦闘機間かつ空対空戦闘での実現を強調し、F-35導入後も「各国でも実現されていない新たな戦い方」「既存装備の購入では実現できない」としています。
管理人はF-35について詳しく無いのですが空対空戦闘でのそれを実現しているとは寡聞にして聞きません。センサーとシュータの分離ができるのは目標が低速な空対地任務のみと認識しています。試験ではF-35を観測役としてイージスサイト側が対空目標への射撃を成功させました。このように連携相手/目標が低速であるといった条件の下では、センサーとシュータの分離が可能なことを示唆しています。
※空対地作戦でのセンサーとシュータの分離は、目標が低速なためFCP(射撃管制が可能な1秒未満のリアルタイム性を有する共通状況図)を作成せずとも従来のCTP(数秒単位の共通戦術状況図)で事足りるという背景が考えられます。
Q.35 F-35がF-15EXをAIM-120Dキャリアとして活用する構想(外部弾薬庫構想)とF-Xの統合火器管制は何が違うのか?
A.35 公開情報や技術的制約から外部弾薬庫構想の信憑性や実現度は低く、実現可能な形態でもF-Xの統合火器管制より機能的に劣ると考えます。
まず当構想の形態は以下の3種類が考えられます。
・Engage on Remote(EoR)
F-35からの探知情報だけでF-15はミサイルを誘導する
・Remote Fire
F-35が探知からミサイル誘導まで行いF-15は発射のみ
・Launch on Remote(LoR)
F-35の探知情報を基に、F-15も自機のFCRで目標を補足して発射と誘導を行う
Engage on Remoteはまず不可能です。F-35とF-15EXを結ぶLink16は数秒単位の更新レートのため、空対空でのFCPを作れません。より高速なMADLを用いるF-35含め、在来機でこれを作成できる機体は無いです。実際に米海軍ではLink16の低速さ故にCECを専用に開発しました。
Remote Fireはかなり懐疑的です。こちらはシュータが要請に従いミサイルを発射すれば、センサーは自機が探知し誘導する点では在来機と変わりません。FCPを作成するより難易度は低いと思われます。
しかし根拠たる「AIM-120Dは双方向DLによって他機に中間誘導を委託できる」という情報は軍やメーカーから示されているのを見つけられていません。双方向DL=中間誘導を他機に委託可能 と結論づけるのは早急だと思います。
仮にF-35同士/F-15EXでRemote Fireが可能なら空戦で優位性を得られるため同盟国もこぞってD型を導入する筈です。しかしD型を導入するのは米英加豪の4ヶ国に留まり、空自はC型の調達を継続しています。
Launch on Remoteなら十分可能です。前方のF-35からの目標情報(射撃には使えない)からF-15はFCRの捜索範囲を絞れるため、APG-82や120Dの範囲を最大限活かせます。
F-Xの統合火器管制では画像のような戦闘が可能になります。例えばForward Passは柔軟に誘導機を割当てられるため、ミサイルで狙われても誘導を僚機に引き継げ、火力/生存性/意思決定速度で大きな優位性を得られます。IRSTの3角測距によるパッシブな火器管制はステルス性や致命性の向上に繋がります。Precision CueもFCPレベルであるため後方僚機はより遠距離から探知可能になりForward Pass等とのシナジーも期待できます。
以上よりF-Xは空対空でのFCPを作成できる点が画期的であり、在来機でのLaunch on Remoteと比較しても、機能面での優位性やシナジー/意思決定速度で差が出てくると考えます。
※空自が導入し始めたC-8型をD型と同じとする情報もありますが、C-8はC-7のマイナーチェンジ版で機能もそれに準じます。
Q.36 NIFC-CA FTAでの統合火器管制とF-Xのは何が違うのか?またF-35とイージスサイトでEoRを試験した際は空対空目標のFCPを作成したのでは無いか?
※回答を修正しました
A.36 質問者様の質問要旨は「既存装備で統合火器管制に似たコンセプトが見られるが、F-Xのそれは何が違うのか?」と思いますので最初に管理人の結論を述べます。
①F/A-18 blk3+E-2D+TTNT
→F/A-18 blk3が空対空のFCPを作れるか微妙なライン
→FTAの詳細機能も不明な点が多い
→FCP作成にはE-2Dを噛ます必要がある?
②F-35+MADL
→FCP作成に足るレベルのトラック情報を転送可能
→固定サイト等の低速な連携先はそれを基に射撃可能
→テスト事例やLMの発表からF-35間での統合火器管制は現時点では不可能?
③F-35+F-15EX+TTNT
→A.35からもEoR等は実現性が低い
①NIFC-CA FTAではF/A-18、E-2D、Link16、AMRAAMによって統合火器管制を構想しています。2014年時点では海軍担当者もTTNTによって火器管制に十分な質の情報を送受信できるとしています。しかしTTNTを装備するF/A-18 blk3について、ボーイング公式では以下のような表現になっています。
The Advanced Cockpit System includes a new 10 x 19 inch touchscreen display provides the pilot with the capability to see, track and target multiple long range targets generated by the common tactical picture.
即ちF/A-18 blk3で生成されるのはCommon Tactical Picture(CTP)であり、空対空でのFCP作成は明言していません。ただし引用内での"target"は、CTPからの情報で「目標を狙える=火器管制も可能=FCPの意味合いも含む」という可能性もあります。またFTAは空対空だけでなく空対地作戦も包括する概念のため、詳細(Forward Passの可否等)含め機能面で不明な箇所が多いのが正直なところです。
また先の海軍担当者はFTA(空対空)についてセンサーとシュータ間でE-2Dを中継させる構成を中心に回答しています。よって戦闘機間ではFCPを作成できず、E-2Dがデータを集約・作成したのを再配布する構成かもしれません。後述する通りF-35でもFCPレベルのデータの送信は可能ですが、戦闘機間ではFCP作成に至っていない可能性が高いため、FTAで統合火器管制が可能ならこの構成は比較的辻褄があいます。ただしキルチェーンの結紮点となるE-2Dに機能が集約され脆弱性を抱える問題があります。
②試験からもF-35がFCP作成に足るトラック情報を転送し、イージスサイト等がEoR等に利用できることが示唆されています。しかしF-35同士での統合火器管制(自機と外部トラックを統合したFCPの作成)はこれまでの試験やLMの発表からまだ実現されていないと思います。おそらく相対位置精度やそれに起因するFCS側の対応(固定サイトは動かず、NIFC-CAでの外部トラックの利用を前提としたFCSのためEoRが可能だった?)と考えますが詳細は不明です。A.34の日本防衛省の発表の他、LMが画期的な戦闘機間・空対空での統合火器管制を喧伝していないのも証左の1つです。
③仮にF-35がMADLを使用して統合火器管制が可能でも、F-15EXとの連接にはLink16系(Link16/CMN-4/TTNT)が必要です。A.35からもF-15EXとのEoRは考えにくいです。
ここまで書きましたが正直なところ米軍のABMSやGateway構想、TTNTの機能や普及度、F-35の詳細機能は管理人も追えきれていません。F-35含む既存機で統合火器管制を行うなら然るべき試験が実施されると思いますのでそれを待つべきと考えます。FTAについて先日、そのテストに関する支援役務が出ているためこれからの動向が注目されます。管理人のはあくまで1つの考えと思って頂ければ幸いです。
Q.37 将来推力レベルの13〜20tは世界的な推力分布であり、ハイパワースリムエンジン(HSE)たるXF9搭載型の推力を指したものとは言えないのでは無いか?
A.37 前者は全くもって仰る通りです。ただしXF9搭載型の推力は構想設計次第ですので現時点では不明です。
防衛技術シンポジウム2020の13〜20tの表記は、世界的にこれから開発される戦闘機用エンジンの推力トレンドを示しています。XF9の将来推力範囲ではありません。数年前に誤ってブログに書いたのをサボって放置してました。
一方、XF9-1はHSEと銘打たれてますが、推力が準ずるF119と比して規模はやや小さく、F100と同程度です。ただしF119と比べ14%の燃費低減を実現しています。
よってHSEとは絶対的な規模や推力表すものでは無く、高効率化による設計の自由度(同じ推力ならよりコンパクト/低燃費、同じ大きさならよりパワフル等)を指すものと考えます。
XF9搭載型の推力については構想設計での要求を満たす機体規模とエンジン推力次第です。個人的には航続距離/搭載量の観点から、XF9搭載型は推力含めF135のような味付け(当ページのXF9-1の項目を参照)もあり得ると思います。
A38. F-XはDCA/OCA両方の運用を遂行するのか?
Q38. DCAが主体ですが、OCAも遂行すると思います。
DCAについて、F-Xは空対空戦闘で航空優勢を確保する制空戦闘機を志向しています。基地数や効果から、基地攻撃による航空優勢の確保はあくまで補助的であり、全般防空の要はDCAになると考えます。機動性と搭載量を両立する機体、統合火器管制等のアビオニクスもDCAでの中核的な能力だと思います。
OCAについて、それを構成する戦力は攻撃隊1つとってもEscort/SEAD/DEAD/EJと多様です。攻撃目標も航空基地だけでなく補給拠点等も考えられます。
EscortとDEADに関しては、DCAに伴う空対空能力やF-2後継機としてのSoM運用能力を転用する形で遂行できると思います。一方、SEAD/EJはその専門性から、個別の能力開発(ARMや広帯域電波妨害装置の運用、SEAD用無人機との連携)が必要と思います。本職たるF-35の存在や任務比重を考えると、F-XへのSEAD能力/運用は優先順位が低いと思われます。
結論としてはF-XはDCAや対艦任務を主軸に、OCAはそれを転用する形で無理のない範囲で関わると考えます。
Q39. JAGUARは日英F-Xのレーダの共同開発or技術開発のどちらなのか?
A39. JAGUAR(次世代RFセンサ)はレーダ技術の共同開発であり、搭載レーダの共通化はまた別個の案件となります。
JAGUARは日英の知見を集約し、両国で1台ずつ計2台のレーダ技術実証機を作成する手筈になっています。搭載レーダ含むサブシステムの共通化の程度は、今年度からの共同分析の結果を待つことになります。
A40. JAGUARが従来のレーダと比べ画期的な点は何か?
A40. Q39.のように次世代RFセンサはJAGUARと同じ共同技術研究事業であり、2026年度終了のためこの技術を反映したレーダは量産初号機には搭載され、ギリ試作初号機に間に合うかレベルと考えます。特徴としては瞬間瞬間では一方向しか検知できなかったのが、当技術では演算量の許す限りの方向を同時に検知できます。
AESAレーダが位相制御で送信ビームの方向を次々に変える(電子走査)はよく知られています。一方、特定方向からの反射波を拾って探知情報とするには、レーダの指向性(最も感度の良い方向、受信ビーム)を任意の方向に設定する必要があります。
従来のAESAレーダは、任意方向から最も感度よく受信するため素子アンテナ毎の信号に適切な遅延をかけて1つの波形に合成していました。この合成波を受信機に送り目標情報かノイズかを判断します。この方式では素子アンテナ毎の信号情報は1つの波形に埋もれ、瞬間瞬間では1方向しか受信できません。ただし、例えば0.01秒毎に指向性を変えることで1秒間に100方向の走査(受信)を実現していました。
つまり従来レーダでは素子アンテナ自体は様々な方向からの信号を受信してますが、瞬間瞬間で受信機が探知情報として認識・形成できるのは一方向のみでした。
レーダ機能のみならまだしも、ESM等を実装すると話は違います。四方八方からの電波を拾うためには受信ビームをその都度形成する必要があり、ビームが細い(高精度)ほど時間がかかります。瞬間瞬間で1方向しか見れない故に重要な信号を逃したり、レーダ機能での受信ビーム形成ともリソースを食い合うためレーダ走査レートが低下する懸念があります。
そこでエレメントレベルDBFでは素子アンテナ(エレメント)毎に受信機を設け並列して重ねつけ処理をすることで瞬間瞬間で演算量が許す限りの方向を見れるようになります。これによってレーダとESMの同時作動や将来的な戦闘機間でのマルチスタティック探知が期待できます。また妨害環境を学習して妨害波到来方向に意図的に受信ビームのヌルを形成するなどECCM性の向上や、群目標に対し別個に走査せず広い送信ビームを送り受信ビームを細くして同時多数探知を行うなど様々な利点が考えられます。
※従来レーダでの合成波形による方式をAnalog Beam Forming、信号のデジタル並列処理方式をDigital Beam Forming(DBF)と言う。DBFでも素子アンテナ毎に受信機を備えてるとは限らず、複数の素子アンテナグループ毎に受信機を設けたものはサブアレイDBFという。
※送信時間(0.01秒)はあくまで例示、実際の所は知らない
※レーダの指向性について最も感度のよい方向をメインローブと言うが、その形成の副産物として方向が違いかつやや受信感度のあるサイドローブも発生する。サイドローブが大きい程所望方向以外(メインローブ以外)の信号がノイズとして紛れるため探知性能に悪影響が出る。
※妨害波も大出力であればサイドローブ程度の感度でも無理矢理ノイズとして受信させられる。これに対抗するため各ローブ間の特に感度が落ちる(ヌル)部分を向け妨害波の受信を防ぐのをAdaptive Beam Forming(ABF)という。
続きを読む
...と言ってもさっぱりだと思うので、以下に詳細を説明します。質問は↓の説明を把握した上でお願いします。
なお回答内容は当然ながら「管理人の考え」ですので、事実と異なる場合もあります。
【1.ページの概要】
読者の方が本ページのコメント欄に
「F-Xに関する疑問・質問」
を投稿すると、本ページにて管理人がそれにお答えします。以下にその例を示します。
・コメント欄にて
C.F-XのLCC見通しはいつ頃決まりますか?
(↑は読者が本ページのコメント欄に投稿)
・本ページにて
Q.F-XのLCC見通しはいつ決まりますか?
A.当資料のP.82に
「開発事業の予算執行初年度末までにベースラインを定めるものとする。」
とあるので、令和2年度末(2021年3月末)にはLCC概算を出すと思います。
(↑本ページ中での管理人の回答)
【2.回答が難しい疑問】
Q&Aと言っても回答しかねる場合があります。それをいくつか例示します。
1.あまりに広範囲/ググればわかるもの
Q.F-Xて何ですか?
2.定義しかねるもの
Q.F-Xと〇〇はどちらが強いですか?
3.F-Xと全く関係ないこと
Q.ヤ〇ザキパンの食器て何で頑丈なの?
4.誹謗中傷を含むもの
Q.〇〇がF-Xは△△などとありえないことを言ってましたが、どうお考えですか?
5.他所様の発言や個人ブログ等からの直接的な引用(大手報道除く)
6.管理人の直接的な感想を求めるもの(あくまで事象に対する質問・疑問でお願いします)
7.内容がセンシティブなもの
【3.お願い等】
・読者お一人につき、1コメ1問/日でお願いします
・質問事項はなるべく1コメ1つにして下さい
・回答に数週間かかる場合もあります
・コメ欄には疑問のみ書き、挨拶や回答へのお礼等は省いて下さい
・他のページでコメントしても、本ページでは回答はいたしません
・レスバは荒れますので、他者コメントへの指摘等はお控え下さい
・成りすまし/荒らしはお止めください
・他所様の発言や個人ブログ等からの直接的な引用はトラブルに繋がりますのでご遠慮願います
・管理人は一般人ですので、間違いや答えられない時もありますがご容赦を
・答えられない質問は素直に「分かりません」の旨を掲載します
【4.最後に】
1ヶ月近く回答が無い場合は、【2】【3】のいずれか注意事項に該当するものとして不採用となります。
色々書きましたが、出来る限り回答したいと思います。お気軽に質問頂ければ幸いです。
【Q&A一覧】
Q.F-XはASM-3を搭載しますか?
A.ASM-3改については、記者会見で搭載が明言されています(これは管理人によるQ&Aの例)
追記:記者会見のリンク切れを修正しました
Q1.事前研究によるセンサ融合技術を発展させ、F-XがCOMINT(通信電波)/ELINT(非通信電波)/IMINT(画像)任務を行う可能性はあるか?
A1.公開資料でそれらを行うと明言されたことはありませんが、大いにありうると考えます。
平時かつ長期的なSIGINTは、受信帯域/利得や通信波の解析機材の搭載から、大型機が適しています。戦闘機のES装置は主にレーダ波や方位探知が主眼であり、主要な通信波たるUHF/VHF波の受信は重視しないかもしれません。
しかしF-Xは生存性から、大型機より脅威に接近しての電波・画像情報の収集が可能です。これらの情報は、戦闘(機上処理判断-EoR等)・作戦/戦役(地上解析-敵部隊配置による行動立案とその複合)の各階梯に資します。
同盟国含めたNCWの中心、電子戦能力の重視、センサ能力、ステルス、航続距離といったF-Xの戦闘性能・コンセプトは、上記の活動を示唆・転用可能と考えます。
Q2.2021年に確定するF-Xの動向は?
A2.以下に主なものを羅列します
・【1.ページの概要】からもF-XのLCC概算が決定
・エンジン開発担当企業が決まります
・MHIと開発支援企業候補のLMとで交渉が行われ、支援内容が決定します
Q3.F-Xの複座型は作られるの?
A3.前提として、現時点で外部から複座の有無は断言できません。その上でお答えします。
装備品開発に際し、空幕は運用構想や要求事項をまとめた、開発要求書を作成します(F-Xのは19年9月作成)。同書において各要求性能はA+(達成が必須)、A-(基本的に達成するが妥協余地有)、B(他との妥協次第で達成できたらいいな)の3段階にランク付けされます。
つまり要求性能でのランク次第― A+なら現時点で複座確定、A-なら高い確率で存在、Bならトレードオフ次第、記載なしなら複座存在は現時点で無しとなります。
ただ部外者は中身を知れない、開発要求は後日修正可能等から現時点-将来は何もわかりません。
管理人は
・戦術高度化(統合火器管制等)に伴うアビオ操作教育の複雑化
・無人機管制技術動向の対応余地と教育
・編隊内情報増大に伴う編隊指揮専任者の需要?
・単座でも可能だが、高等操縦課程にも転用できる
・保有数の数割が複座でも全体に対する増大数は僅か
等から、複座は作るべき-少なくとも設計時の複座改修余地の確保はB要求になると考えています。
Q4.F-Xのモックアップはいつ頃お披露目?
A4.断定はできませんが、2023-24年度頃と思います。
装備品の開発作業は大まかに、システム設計→基本設計→細部設計→製造-試験という手順を踏みます。
モックアップ作成には機体形状の確定が必要です。
FS-XやP/C-Xの事例を踏まえると、基本設計によって、システム設計での形状を精微化し、風洞試験等で検証します。前者2つも、基本設計完了時にモックアップが公開されました。
F-Xは22年度まで構想検討を行いますが、これはシステム設計に準じた内容です。また、24年度からは試作機製造(細部設計と製造を含む)に着手するため、23年度までに基本設計を完了させる必要があります。
よって、モックアップ公開は2023年度頃と考えます。
※基本設計とシステム設計は一体で扱われる場合があり、構想検討と基本設計期間が一部重複する可能性もあります。
Q5.日英F-Xでパーツ共通化のような、より深まる協力となる可能性はあるか?
A5.一部部品はともかく、主要構成品(レーダ/エンジン等)を丸ごと共通化する可能性は小さいと思います。
主要構成品の要求性能はシステム-基本設計で定めますが、共通化する場合は日英で要求をすり合わせる必要があります。しかし、F-X(大型制空戦闘機)とテンペスト(中型戦闘爆撃機)は要求性能が相当に異なるものと予想されます。
機体規模はエンジン推力/燃費に直結し、撃破目標/戦闘環境の差はセンサや火器管制能力にも影響を与え、異なる仕様のすり合わせは開発期間やコスト増大を招きます。
テンペスト計画の理念や、日本単独でシステム設計に着手していることからも、日英F-Xの無理な共通化は考えにくいと思われます。
違う視点では両計画とも自国主導を掲げており、開発経験や改修自由度からも、主要構成品は自国企業に任せたい意向はあると考えます。また空自/英空軍も自国技術に基づく要求見積りをしていると考えられ、過度な共通化は要求達成からも望ましくないと思われます。
主要構成品の共通化に否定的な考えを述べましたが、更に細分化した部品の共通化(エンジンのタービン静翼、補機等)は、コストや改修自由度にメリットがあれば実現するかもしれません。
※テンペスト計画の理念:必ずしも参加国でハードウェアを共通化する必要はなく、共同研究で得られた技術を自国向けに改修するといった形も認める。タイフーンでのハードウェア共通化と異なる仕様のすり合わせによる開発難航を反省したもの。
Q6.F-X随伴無人機の武装化と、それがF-15J後継機になる可能性はあるか?
(なるべく質問事項は1コメ1つに絞ってください)
A6.武装化はあり得ますが、随伴機がF-15Jを完全に代替するとは考えていません。
技術動向等から当分は、随伴機ができる戦闘行動は人間の操縦より劣ると考えます。仮に有人機編隊の一部を随伴機に置き換えても、戦術がそのままでは弱体化するだけです。
よって随伴機の価値とは大きく分類すると
・損耗(過酷環境)を許容する戦術/作戦が実行可能
・一部任務の代替で、有人機を他に有効活用できる
と管理人は考えます。
武装化については例えば
・AAM搭載機をできる限り敵編隊に接近させ発射
・ASMを射点まで運搬・有人機管制に基づき投下
が可能になれば有人機は、敵編隊の捜索、ASM運搬機の護衛、といった高度な任務に投入可能です。武装化は随伴機価値の発揮手段として有効と考えます。
しかし本邦の環境や随伴機の課題からも、随伴機と既存飛行隊でF-15J数個飛行隊が担っていた任務を完全に代替できるとは思いません。ただし、一般人が定量的な評価はできません。
戦闘機定数に囚われず、随伴機/戦術構想、負荷低減度、基地の出撃可能数、リソース等を勘案した機材所要数を算出すべきと考えます。
※本邦の環境:広大な領域に比して基地数が少ない、ハイエンドな敵との空対空戦闘が主軸
※随伴機の課題:現状では有人機の補完に留まる、空対空戦闘に耐えうる無人機の実現、価格の増大は損耗許容性を減じる、安価で数を揃えても基地能力によって出撃数に制約(有人機とも競合)、F-Xにずっと随伴するのか?滞空性をどこまで妥協するか?、空対空戦闘に必要な機能/滞空性が与える補完度合いのトレードオフ/機体規模/価格等の総合的な検討
Q7.F-Xへの国産兵装搭載に米国の許可が要るような事態になり得るか、また国産エンジンの技術成熟度合いは如何ほどか?
(なるべく質問事項は1コメ1つに絞って下さい)
A7.F-Xへの国産兵装搭載は余程の事がない限り自由に行えると思いますし、試作エンジンのXF9-1も現時点では順調なようです。
国産兵装搭載で関わる機体機器は大雑把に、センサ系統(探知データ取得)/捜索表示系統(目標/兵装選択、発射指令の入力)/火器管制系統(火器管制計算や武装の状態管理)が挙げられます。
上記機器系統は各種計算機で構成されますが、OFP(Operational Flight program)と呼ばれる各計算機内に組み込まれたソフトウェアが動作を制御します。
要は国産兵装が制御できるようにOFPを自由に書き換える権限があれば、自由に統合できます。事前研究からもOFPは国内企業が独自に開発製造する見通しです。
よってOFPの知的財産権は国内で保有することになり、国内で自由に統合できると思います。
XF9-1はドライ11t/AB15tの目標推力を達成しました。試験期間も当初予定通りであり、特に不具合は伝えられていません。
今後は試作/量産仕様のエンジンを製造し、試作機搭載に必要な予備定格飛行試験(PFRT)、量産機搭載に必要な認定試験(QT)をそれぞれ満たす必要があります。
※F-2ではMHIがLM社からライセンスを取得し、F-16のOFPを基に機能追加等の改修を加えています。ライセンス取得でOFPを弄る権利があるので、F-2の国産兵装統合は国内で自由に行える筈です。
※仮に米国の許可が必要となるのは、日本に知的財産権もライセンス範囲も無いOFP(F-35等)を上記系統に使用するような事態に限られます。
※PFRT/QTの他に、基本的なエンジン特性を把握する技術評価試験(EET)も存在します。これら試験は米軍規格のMIL-E-5000Dとその後継のJSSG-2007Aによって定義されています。なおXF9-1は両規格に基づき設計されました。
Q8.今後の交渉によっては最悪の場合、LMが開発支援を断ることはあるか?
A8.「破談可能性は0では無いが、それを防ぐために事前調整等は行っている」との回答になります。
海外企業からの開発支援についての情報収集(RFI発出)は過去に数回行われました。
LMは2016年のRFIに応じた他、2020年にはノースロップと共同で情報提供しました。
時系列は前後しますが、2020年5月からは日米企業協議を開始しました。この協議には日米政府の防衛関係者、三菱重工、米企業3社(ロッキード、ボーイング、ノースロップ)が参加し、オンラインで企業別に提供可能な支援策を協議しました。
このように情報収集や日米官民での事前調整は行っている他、LMもNGと共同で情報提供を行うなど積極性も見られます。
なお一部報道では、交渉が拗れた場合はLM以外の企業とも協議する可能性が報じられています。
Q9.F-XがJSMや1000ポンド爆弾等を内装する可能性はあるか?
A9.トレードオフ次第でそれらを内装する可能性はあります。
一般論として、制空戦闘機で航続/速度/機動性能を追求する場合は、軽量化や低抵抗化が望ましいです。重量物の内装は、空対空戦闘では無駄となる容積や懸架強度(重量)の増加に繋がります。
しかしF-Xはマルチロール機でもあり、過度な性能の追求は汎用性を失いかねません。武装毎の内装可否は開発要求書での記載事項と思われ、バーチャルビークル(VV)等を踏まえたトレードオフ次第で決まります。
管理人的には長距離AAMの内装余地等も踏まえると、JSMはギリ内装できる深さになると思います。
※制空特化のF-22でもAAMと射出型ランチャーを収める容積はあるため、1000ポンド爆弾程度なら内装は可能です
※個人による26DMUの解析ではJSMはベイにギリ内装できない程度ですので、十分にトレードオフの範囲内と考えられます
※バーチャルビークル(VV): 空自自身がF-Xの実現性や費用対効果の高い要求性能を導出するために仮想空間上で設計した機体。将来戦闘機の技術的成立性に関する研究(H27-29)で作成。
※VVの作成手順: 任務分析→機体コンセプト/要求性能設定→技術的成立性(重量排熱等)を考慮したデジタル設計→風洞試験等による設計検証→模擬戦闘による、要求性能・設計が戦闘に与える感度分析→模擬戦闘結果を踏まえた設計改訂
Q10.エンジンノズル形式はまだ決まってない?
A10.ノズル形式(通常、2D、3D等)は機体設計の一部であるためまだ確定していないと思われます。
ノズルは一般的に各種ステルス性や重量、価格、推力等に影響を与えるため、構想/基本設計での風洞/RCS試験やシミュレーションによる検証が必要です。
21年2月現在は構想設計開始から1ヶ月程度であるため、検討途上と考えられます。
3Dノズルの要素研究は設計自由度/手段確保が目的であり、実機採用を確約するものではありません。なおVVではノズル形式も検討対象ですので、性能等のトレードオフは事前に行われているのも事実です。
※ノズル及びパドルの違いとして、パドルは推力偏向機能のみ、ノズルは推力調整用に排気開口面積の拡大-縮小(C/D)も可能な点が挙げられます。
※X-2は3Dパドルに加え別途C/Dノズルを備えます。F-22はC/D機能も備えるため、2次元ノズルに分類されます。重量や整備性からもF-Xではパドルは採用されないと思われます。
Q11.LMとNGの持ち味と支援内容は何が考えられるか?
A11.LMは機体設計/システム統合経験、NGはアビオニクス設計統合が持ち味と考えられます。
前提としてLM陣営は「インテグレーション支援企業候補」であり、本回答はその文脈に絞ります。「相互運用性の確保」「サブシステム毎の協力」の観点については全体支援とは別個に検討されているからです。
LMはF-35等のステルス戦闘機の開発経験が豊富です。機体設計やミッションシステム統合、各開発担当(機体屋、エンジン屋、アビオ屋etc)との調整等に深い知見を持ちます。またF-Xではデジタルエンジニアリング(モデルベースドデザイン等)を活用しますが、この手法での開発経験でLMには一日の長があります。
よって内容としては日本側の設計の妥当性審査/助言や先進手法による開発マネジメント支援が考えられます。ステルス機開発経験に基づく仕様調整、CFDによる機体形状の検証、重量配分や機器配置、試験での不具合対処、各開発担当間のリソース配分への助言等が挙げられます。F-2では、MHIによるインテーク改設計をLMでも検証し妥当性を確認した事例があります。
NGはF-35やB-21での、センサ融合やOAを活用したアビオニクスの設計統合経験が強みです。
F-Xのミッションシステムは各種センサ/DLの融合やOAの適用が謳われています。F-35では複雑なミッションシステムの構築が開発遅延の主要因でした。
支援内容についてはミッションシステム/OFPの構成や機能、実機環境下での不具合改善策の助言等が考えられます。
Q12.F-Xに機銃は搭載されるか?
A12.スクランブルでの警告射撃用に搭載できるとは思いますが、内装かガンポッド式になるかはわかりません。
VVの検討では機銃を必ず搭載(内装)する旨は書かれていません。VVの戦闘シミュレータによる、機銃の有無での戦闘能力/コスト/機器配置余裕のトレードオフ次第と思われます。(これもQ3.での開発要求書でのランク付け次第です。)
管理人の意見としてはBVR戦術や短距離ミサイルの発達で機銃の価値は低下しており、必ずしも内装する必要は無いと考えます。現に近年になってJ-20等の機銃を内装しない戦闘機も登場しています。
格闘戦は「ネットワーク戦闘による数的不利の打開」という此方に有利な戦い方ができないため、なるべく生起させない/特化しないのが望ましいと考えます。
ただしステルス機同士の場合、探知時には格闘戦距離に接近しているといった事態も考えられるため、戦闘シミュレータによるその発生確率等の評価も必要と思います。
Q13.F-XのAAM内装数がF-22を上回る可能性はあるか?
A13.開発要求書での内装要求数次第ですが、あり得ると思います。
VVでは内装数も検討対象であり、戦闘シミュレータでは1機につきMRMx8+SRMx4が模擬搭載数の上限です。
しかしこの数は敵機のも含む他、上限数はメーカーとの協議で変更できるため、AAM内装数を決定づけるものではありません。
個人的には数的不利及び統合火器管制(IFCS)によるセンサ/シュータの分離を鑑みると、シュータ機に投射需要が集中-単機搭載数が求められると思います。DMUの変遷でもMRM内装数は4→6発へと増加傾向を示していました。
ただし戦術の差異による射耗数の変動や、IFCSは編隊内の弾数リソース管理も行うため状況によって単機要求数は変わるかもしれません。同一機材で特性の異なるセンサ機(滞空・生存性重視)とシュータ機(搭載量重視)を担うためトレードオフも必要です。
F-22と同様の配置なら、MRMx6-8/SRMx2程度が現実的な搭載数と考えます。
Q14.F-Xの輸出需要はあるか?
A14.純然たる戦闘機としての需要は相当限られると思います。
管理人の主観ですが、F-Xのコンセプトを表すと「重制空ISR機(MiG-31/F-15/F-35の合の子)」です。ネットワーク戦闘の中心となって数的不利でもステルスFiを撃破し、一定のマルチロール能力も備えます。
よって輸出でのセールスポイントは、長大な脚、対ステルスFi戦闘、高性能センサ、一定のマルチロール能力となります。
しかし戦闘機輸入国で「既存機(F-35も含)では制空/対ステルスFi能力や航続距離に不満足」という条件を満たすのは相当に限られます。また前述条件が揃っても政治的に売れない国(イラン等)もあります。
これらを踏まえて主観全開で輸出候補を挙げます。
・東南アジア諸国:中国の脅威はあるが輸出利益や価格、政治的に厳しい面も
・インド:中国脅威もあり比較的価格面も許容できるが露との繋がりや輸出交渉が難しく一筋縄ではいかない
・中東親米国:イラン等の脅威もあるが、F-35より更に制空寄りの機材を求めるかは不明
・イスラエル:UAE(F-35導入国)と国交を樹立したが潜在的な脅威として対F-35機材の需要可能性? 攻勢対航空が中心だが制空機(F-4/F-15A)を長距離爆撃に転用した事例も F-Xの爆装量や政治的な制約も存在 米国次世代機次第でも変化
・オーストラリア:かつてF-111を運用し、長距離機材の需要が根強く存在 同じくF-Xの爆装量の制約やB-21の売却可能性も
そもそもF-Xの運用環境/構想が西側では異端であり、生産数を増やすなら輸出はアテにせず、F-15JMSIPの後継を狙うのが懸命であると思います。
※重制空ISR機
重:長大な航続距離/重武装/一定のマルチロール能力
制空:対Fi戦闘での敏捷性/空中撃破/敵A2AD環境での生存
ISR機:高性能センサ/ 全体ネットワークでの眼/機上での統合処理
Q15.F-XによるMSIP機更新はJSI化遅延を穴埋めできるか?
A15.F-X追加導入とJSI化は関連性が低いと思われます。
JSIは要撃戦力のストップギャップ及び長距離投射戦力の一翼を担います。JSI化は言わば「金で時間を買う」事業です。
F-Xは2030年代以降の配備であり、早期実現という点でJSI代替にはなり得ません。JSI化を断念-浮いた費用を活用したところでF-X早期開発完了・導入には繋がりません。F-XによるMSIP機更新はJSIとは別の文脈となります。
代替手段として4.5世代機(F-15EX等)の新規導入は、改修よりコストがかかる上に運用寿命を残したまま性能寿命が尽きるため望ましくありません。F-35のこれ以上の追加導入も機種構成が大幅に偏る弊害を無視できません。
私見としてはコスト増を偲んだ上でJSI化を行うか要撃能力のみに絞っての改修が望ましいと思います。
※長距離投射能力は要撃性能寿命後の転職先も兼ねる
※実現時期の差からJSI費用をF-X導入に回せない
※F-35追加導入の弊害:飛行停止の影響、性能陳腐化時の全体への影響、更新時期の重複、敵の対策容易化(単機種に念頭を置ける)
※要撃能力のみに絞る:スタンドオフ能力は12SSM能力向上型等の代替策もあるため
Q16.F-Xの量産単価はどのくらいと予測されるか?
A16.現時点での正式な想定単価は不明ですが、150億円付近、天井は200億円未満だと思われます。
150億の数字については「100機程度の取得に1.5兆円」「将来戦闘機の想定目安単価が150億円」等の防衛省の見積もりが一部で報道されています。
200億円未満と天井を設けたのは、LM案(70機生産-単価240億、140機生産-単価210億)に対し防衛省が高額すぎると難色を示した報道があるためです。
F-XのLCCは開発着手年度末(2021年3月末)までに策定されるため、2021年夏のプロジェクト管理資料に生産数及び生産コストが記載されると思われます。
開発の進捗によって見積りからどの程度、実際の量産価格が変化するかは未知数です。
※プロジェクト管理資料での生産数はLCC算出上の目安であり将来の導入数を確約するものでは無い
※生産コスト÷生産数で概ねの量産価格が算出可能
※開発着手前に官側は、開発見積りや開発要求で期待量産価格を設定する
Q17.F-Xの単価が150億円では調達数が減らされる可能性が高いのではないか?
A17.単価のみで現時点で調達数の削減可能性が高いとは言い切れません。
調達数は戦略環境、戦力的な重要度、取得リソース、経済状況等の様々な影響を受けます。また取得コストは持続的な調達ができるように設定されます。
具体的な金額としては、F-Xの単価150億円で年6機調達であれば単年度調達費は900億円となります。
ここで近年のF-35調達実績を挙げると
・2015年度1032億円:F-35Ax6
・2016年度1081億円:F-35Ax6
・2020年度1074億円:F-35Ax3/F-35Bx6
と単年度1000億円以上の年もあり、F-Xの単年度900億円は過去実績からも実現範囲内と言えます。
一時的とは言え、F-35の調達(年平均926億円)と並行してF-Xの開発費(年平均1000億円)も計上します。両機の調達が殆ど重複しないのを鑑みると、F-Xの単年度調達費(900-1000億円)は十分に計上できる範囲内と考えます。
絶対値的な費用だけでなく、F-Xはプロジェクト管理重点対象装備品であるため、単価やLCCが見積り範囲内で収まっているか等も取得計画に影響を与えます。
運用上の観点ではF-2の時点で予備機を相当数削減しているため、これ以上の機数削減は難しい面もあります。3個作戦飛行隊分は維持した上で教育飛行隊分を削減した場合、1個作戦飛行隊が教育も兼ねることになり有事稼働数が現行よりも減少します。
F-2機数未満のF-Xで、空対空戦闘を主軸とする本邦の防衛所要を満たせるかは極めて懐疑的と考えます。
※F-Xの年6機の調達ペースはF-35を参考とした
※F-Xの15年間の開発費を1.5兆円とした
※20年度のプロ管資料では2032年頃までF-35ABの調達を実施
※年平均926億円:F-35ABの11年間の残り調達費は10181億円であるため
※年度見積りの平均量産単価/単位事業取得コスト/単位LCCが
現行見積り115%当初見積り130%以上→取得計画の見直しについて調整
現行見積り125%当初見積り150%以上→取得計画の継続必要性を検討
Q18.F-Xの初飛行は2027年頃か?
A18.現時点での初飛行時期は2028年です。
昨年の防衛省資料では2027年から地上試験を開始し、翌年の28年から飛行試験を行う予定となっています。
Q19.F-Xの要素研究のうちEO-DAS的なものはあるか?
A19.分散配置されたEOセンサの映像をHMDに投影しMWS等の状況認識機能を提供する意味であるなら、「将来ミサイル警戒技術に関する研究」が該当します。
本研究では以下の機能が目玉として挙げられます。
・分散配置された2波長IRセンサによる全周警戒
・頭部指向方向に応じたHMDへの統合画像の表示
・ミサイル等の脅威赤外線光源の長距離探知/追尾
・各種赤外線光源の識別/脅威度判定
・統合画像への追尾及び脅威度判定結果の重畳
研究序盤では地上試験用のIRセンサ等が試作され、研究中盤から2021年現在まではC-2 201号機に機材1式を搭載した飛行試験を行っています。
戦闘機への適用としてセンサ光学窓のRCS試験や、センサ搭載構想の検討もされています。短距離ミサイルの照準等のMWS以外の機能の実装は実機要求次第と思われます。
※統合画像:複数台のIRセンサからの画像を、歪み補正等をかけて1面化した画像
※搭載構想:一般に23-26DMUで知られるDMUを用いた、全球覆域可能なセンサ搭載位置/信号処理-電源部の搭載位置/冷却方法/消費電力及び重量 等の検討
Q20.F-Xと無人機はどのような方式で通信するか?
A20.質問での無人機の形態は測りかねますが、近距離高速(ミリ波DL)と遠距離低速(Link16等)の2本立てと考えます。
「支援機技術の研究」では、有人機から無人僚機への指令が構想されています。必然的にLOS通信になる他、実用段階では射撃データのやりとりも考えられるため高速低遅延なデータリンクが適しています。
F-Xには統合火器管制用のミリ波通信機が積まれるほか、相互運用性からMADLも搭載する可能性もありそれらが無人機との通信に利用されると思います。
F-X編隊が直接管制しない無人機(海洋監視機等)であれば、広域データリンクたるLink16が有力と考えます。無論、ミリ波通信機やMADLが標準搭載となれば状況に応じてそれらの活用もみこまれます。
Q21.F-Xのパイロット育成にはシミュレータとT-4後継機のどちらを用いるか?
A21.将来の教育体制にもよりますが、シミュレータと訓練機は対立項では無く相互補完的と考えます。
シミュレータは飛行前操作の習熟化促進や飛行時間削減による教育費低減が主な利点です。訓練機/実機カリキュラムの一部実施であり、完全な代替ではありません。
米空軍のF-35でも教育でシミュレータも活用してますが、T-7AのようなLIFT機導入やルーク空軍基地のF-35実機訓練飛行隊も運用しています。
※T-4後継機の方向性は質問内容から逸れるため、必要があれば別途質問してください。
Q22.有力なF-Xの配備基地はどこか?
A22.機材の更新/減勢等で配属も変わるため一概にはいえませんが、当分は新鋭機扱いのため仮想敵正面より後方(築城・百里等)になると思います。
まず将来機材(F-X、F-35、F-15JSI)の役割分担を以下のように考えました。
・F-X:戦域を支える制空機-3SQ
・F-35:反撃戦力の要の戦闘爆撃機-6SQ
・F-15:鳴子兼ミサイルキャリアー-4SQ
よってF-15は那覇・千歳に残しつつ、F-XとF-35は地理的特徴に応じて後方に配備します。
三沢は2SQが配備予定の他、F-35の地上訓練拠点が整備されるためF-Xの配備は考えにくいです。
新田原はF-35B配備が取り沙汰されており集中運用する場合は2SQとなります。
築城は主戦域たる南西方面の後方拠点であるため有力なF-Xの配備先(2SQ?)です。
百里は太平洋に進出しグアム等を脅かす中国爆撃機等に警戒できるため、F-X配備先の候補(1SQ?)と考えます。
小松は南北両方に対応できる他、縦深もあるためF-35が2SQと考えます。
F-15JSIは退役間近まで敵正面-スクランブル用に維持すると思いますが、改修内容/日程の変化で運用期間に変更(F-Xで早期代替)する場合は、F-Xが仮想敵正面にも配備されることになります。
Q23.先進エアデータセンサ(AADS)の技術的な特徴は何?
A23.AADSはピトー管での計測が難しい高迎角時のエアデータを算出する技術です。
通常、機体のエアデータ(対気速度、横滑り角、仰角等)はピトー管に流入する気流から直接計測します。しかし、高迎角時にはピトー管から気流が剥離するため正確なエアデータの直接取得が困難となります。
そこでエアデータを直接計測せずとも航法速度と風から間接的に算出するのがAADSとなります。以下に具体的な手順を説明します。
・1.ピトー管で低仰角時に風を計測
・2.航法速度を迎角に依存しないGPS/INSで計測
・3.航法速度をGPS/INS、風を低仰角時に取得したものを用いて高迎角時のエアデータを算出
AADSのイラストを用いた説明や試験結果等はこちらの資料を参考にして下さい。
Q24.無人随伴機は翼下懸架型のステルス機となるのか?
A24.ステルス機ではありますがおそらく地上発進型になると考えます。
低観測性による戦術的な優位・F-X(ステルス機)との連携から、無人随伴機にもステルス性は求められると思います。ATLAの無人装備ビジョンでは無人支援機へのステルス性の適用が記述されています。
発進形態についてはまだ確たる事は言えません。2018年半ば頃には、ステルス機探知のため翼下懸架型のUAVが構想されているとの報道(読売:2018.04.21)もありました。
しかし翼下懸架型は以下のようなデメリットを抱えます。
・母機の耐荷重制限
・懸架時のクリアランス
・↑からの機体規模と容積等の設計制限
・発進数の限定
・母機ステルス性の減少
・母機行動の制約
以上を鑑みると、一定度の滞空性が求められる無人随伴機は比較的制約の少ない地上発進型が望ましいと考えます。
Q25.F-Xに極超音速兵器は搭載されるか?
A25.戦闘機搭載型の極超音速兵器について情報がほぼ無いのでわかりません。肯定も否定もできません。
Q26.F-Xにどのような指向性エネルギー兵器(DE)がいつ頃搭載されるか?
A25.HPMは高出力レーザーより高い確率で搭載すると考えます。実現時期について、HPMは2030年代後半-2040年代前半にかけて、高出力レーザーは搭載するにしても2040年代以降になると考えます。
・HPM
「高出力マイクロ波装置の研究試作」でTWT-AESAを用いた戦闘機搭載型の技術検討が行われています。報道でもF-Xへの搭載が言及されました。またHPM装置はハードウェアを高出力レーダと兼用できるため実装難易度も低めです。
しかし「先進統合センサ」で試作されたGaNレーダでは実現しておらず、この流れを汲む当初装備のレーダではHPM機能を実装しないと考えます。将来装備ビジョンでは航空機搭載型装置は2030年代頃の実現を見込んでいます。
実装する場合は先述のTWT-AESAや別の次世代半導体の技術動向を踏まえた上での判断になると考えます。
・高出力レーザー
「将来戦闘機ビジョン」では2040-50年代頃の実現とありましたが、将来装備ビジョンでは航空機搭載型は言及されていません。HPMと違い専用の照射装置も必要であり、搭載するには小型化や効率化が必須です。
最も先進的なアメリカ空軍のSHiELD(航空機搭載電気駆動型レーザーの研究計画)も技術課題等から計画が遅延しており、有効性に疑問を持つ声もあります。
ある程度技術的目処の立っているHPMと比べると、高出力レーザーの航空機搭載はそれより後になると考えます。
Q26.F-Xの無人化は構想されているか?
A26.防衛省が無人化F-Xを検討してるかは不明です。ただし航空新聞社の記事には無人化を検討する一文が掲載されてます。
Q27.無人機への武装化はされるか?
A27.本ページA6を参照して下さい。
Q28.F-Xへのアダプティブエンジン(ADE)の搭載は何時か?また可変サイクルエンジンとの違いは何か?
(小分けにしてもいいので質問事項は1つに絞って下さい)
A28.ADE搭載機を最初から配備するのは時間的に厳しいと思います。
ADEについて「XF9-1のアダプティブサイクル適用に関する技術的検討作業」が実施されています。このことからXF9-1でADE技術を実証した後に、F9系エンジンを流用した改造機の搭載が予想されます。
ADEの技術実証と搭載型の開発試験に各5年-約10年かかるとすると、エンジン設計作業が一段落する25年から着手しても試験完了は35年頃となります。量産開始は31年を予定しており、組立等を考えると35年配備は厳しいと考えます。
よって初期の1・2個飛行隊分はは非ADE搭載機としつつ2040年頃配備機から搭載していくと思います。
(管理人の認識では)ADEは第3流を追加し速度に応じて各流路への空気流量を調節することで低燃費化を図ったエンジンと認識しています。YF120等の可変サイクルエンジンはバイパス経路の開閉で速度に応じ、ターボジェットとターボファンの2モードを選択可能なエンジンという認識です。
Q28.F-Xの塗装に洋上迷彩が採用されるか?
A28.塗装は全く情報がありませんが、管理人の考えとしてはイベント以外で洋上迷彩が使われる可能性は小さいと思います。
ステルス機表面には電波吸収塗体(RAM)やが用いられますが、炭素系の素材故に色は黒〜灰色となります。このためステルス性から洋上迷彩に必要な青色塗料を使用するのは難しいと思われます。
F-2の洋上迷彩は対艦攻撃時に洋上低空を飛ぶ機体の上空からの視認性を下げる効果があります。しかしF-Xは高空での制空性能を重視しており、空に溶け込む灰色系の塗装が適します。対艦攻撃戦術も長距離ミサイルによる敵防空火器射程外からの高空発射に移行しつつあるため、洋上低空で肉薄する機会が減ると予期されます。
従ってステルス性と飛行高度の観点から洋上迷彩は採用されにくいと思います。
Q29.F-Xの推定全長/空虚重量はどのくらいか?
A29.例によって公式情報がないため管理人の個人的な意見になりますが、空虚重量は20t以上、全長は19m後半-21m未満になると考えます。
空虚重量は「日本の研究は空虚重量20tを超える非常に大きな戦闘機が必要と示した。航続距離とウェポンベイの大きさが鍵となる。」と報じられています。「日本の研究」については、機体規模検討等の内容からVV周りの情報と思われます。
全長推定は機体構造によって範囲が変動します。最もコンパクトなF-22式と全長が嵩張るFB-23式の機体構造を検討すると、全長根拠は以下のようになります。
・26DMU(推定19m弱)より大型化?→19m後半以上
・FB-23式の機体構造→20m後半は必要(独自研究)
航続/AAM搭載数の重視や制空戦闘での速度/機動性確保を考えると、19m後半-21m未満の範囲が妥当と考えます。
※見積りにあたってベイは4m級x2、エンジンは5m前後とした
※F-22(並列ベイ/S字ダクト)、Su-57(エンジン間の縦列ベイ/ストレートダクト)、FB-23(エンジン前の縦列ベイ/後部湾曲ダクト)
Q.30 RRとIHIで共同開発したエンジンが双方で採用されことはあるか?
A.30 日英間のエンジンの協力内容は不明な点が多いですが、エンジン全体の共通化は考えにくいと思います。
防衛省はコスト削減や技術リスク低減から日英協力を検討してますが、どのような協力形態を想定してるかはこれまでの報道からも不明です。各社で報じられた「共同開発」も、完全に共通化するのか、発電機等で一部参画するのか、技術/研究協力程度なのか、が明確でなく非常に曖昧となってます。
現在は機体の構想設計の一環としてエンジンの要求推力/規模を検討してると思われ、当然性能見積もりにはXF9-1の成果を反映してると考えられます。また、2022年からエンジンの基本設計、2024年からは詳細設計及び製造に入り、飛行試験が始まる2028年までにPFRTを完了させる必要があります。よって、設計から基本的な特性把握までに数年かかる新型コア/エンジンを開発する時間的余裕は殆ど無いと思います。日英双方のワークシェアや要求性能の違いを鑑みても無理な共通化は避けると思います。
個人的には日本が素材技術やタービン等の部品供給と引き換えに、英国は自らが強みを持つ内装発電機への設計製造への参画といった協力形態になると考えます。
※英国側は日本の素材技術に注目してると報じられてる
Q.31 F-Xのイメージ図から航続距離や搭載量重視が見て取れるがその理由は何か?
A.31 航続距離は広大な領域をカバーするため、搭載量については数的不利や無人機への対処が念頭にあると思います。
航続距離について、日本が広大な領域を有し戦闘機がそれをカバーするのは論を待ちません。また空中給油の負担軽減や、CAPでの余裕を持った展開判断、同時在空数を増やせるなど様々な利点があります。
搭載量については先述の通り、数的不利や無人機への対処から主にAAM本数を増やす方向だと思います。統合火器管制によってセンサ機とシュータ機の役割分担が進む分、単機の発射数も求められると考えます。
Q.32 XF9-1の試験で用いた高空性能試験装置はXF5級が測定性能の限界であるが、どのように試験したか?
A.32 ATF装置の測定性能内で試験したと思われます。
ATFの性能向上はここ数年で大型エンジン試験装置として契約されたばかりです。少なくともXF9-1では供給可能な流量(推力)内で試験したと思います。
Q.33 財務省の「新型機は小型化の傾向にある」とする資料は開発作業にどのような影響をもたらすか?
A.33 基本的に何の影響も無いと思います。
次期戦闘機の形態に影響を及ぼすのは官側の仕様書ですが、財務省は直接それの改訂に関わる権限を有していません。間接的に官民担当者へのコスト削減圧力となって構想設計での機体案選定に影響するかもしれませんが、そもそもコスト重視は長年の傾向でありこの資料単体で左右されるという可能性はほぼ皆無と考えます。
Q.34 F-XとF-35の統合火器管制機能は何が違うのか?
A.34 空対空戦闘かつ戦闘機間で統合火器管制を実現できるかできないかとなります。
防衛省はF-Xの統合火器管制について、目標と連携相手が高速で機動する戦闘機間かつ空対空戦闘での実現を強調し、F-35導入後も「各国でも実現されていない新たな戦い方」「既存装備の購入では実現できない」としています。
管理人はF-35について詳しく無いのですが空対空戦闘でのそれを実現しているとは寡聞にして聞きません。センサーとシュータの分離ができるのは目標が低速な空対地任務のみと認識しています。試験ではF-35を観測役としてイージスサイト側が対空目標への射撃を成功させました。このように連携相手/目標が低速であるといった条件の下では、センサーとシュータの分離が可能なことを示唆しています。
※空対地作戦でのセンサーとシュータの分離は、目標が低速なためFCP(射撃管制が可能な1秒未満のリアルタイム性を有する共通状況図)を作成せずとも従来のCTP(数秒単位の共通戦術状況図)で事足りるという背景が考えられます。
Q.35 F-35がF-15EXをAIM-120Dキャリアとして活用する構想(外部弾薬庫構想)とF-Xの統合火器管制は何が違うのか?
A.35 公開情報や技術的制約から外部弾薬庫構想の信憑性や実現度は低く、実現可能な形態でもF-Xの統合火器管制より機能的に劣ると考えます。
まず当構想の形態は以下の3種類が考えられます。
・Engage on Remote(EoR)
F-35からの探知情報だけでF-15はミサイルを誘導する
・Remote Fire
F-35が探知からミサイル誘導まで行いF-15は発射のみ
・Launch on Remote(LoR)
F-35の探知情報を基に、F-15も自機のFCRで目標を補足して発射と誘導を行う
Engage on Remoteはまず不可能です。F-35とF-15EXを結ぶLink16は数秒単位の更新レートのため、空対空でのFCPを作れません。より高速なMADLを用いるF-35含め、在来機でこれを作成できる機体は無いです。実際に米海軍ではLink16の低速さ故にCECを専用に開発しました。
Remote Fireはかなり懐疑的です。こちらはシュータが要請に従いミサイルを発射すれば、センサーは自機が探知し誘導する点では在来機と変わりません。FCPを作成するより難易度は低いと思われます。
しかし根拠たる「AIM-120Dは双方向DLによって他機に中間誘導を委託できる」という情報は軍やメーカーから示されているのを見つけられていません。双方向DL=中間誘導を他機に委託可能 と結論づけるのは早急だと思います。
仮にF-35同士/F-15EXでRemote Fireが可能なら空戦で優位性を得られるため同盟国もこぞってD型を導入する筈です。しかしD型を導入するのは米英加豪の4ヶ国に留まり、空自はC型の調達を継続しています。
Launch on Remoteなら十分可能です。前方のF-35からの目標情報(射撃には使えない)からF-15はFCRの捜索範囲を絞れるため、APG-82や120Dの範囲を最大限活かせます。
F-Xの統合火器管制では画像のような戦闘が可能になります。例えばForward Passは柔軟に誘導機を割当てられるため、ミサイルで狙われても誘導を僚機に引き継げ、火力/生存性/意思決定速度で大きな優位性を得られます。IRSTの3角測距によるパッシブな火器管制はステルス性や致命性の向上に繋がります。Precision CueもFCPレベルであるため後方僚機はより遠距離から探知可能になりForward Pass等とのシナジーも期待できます。
以上よりF-Xは空対空でのFCPを作成できる点が画期的であり、在来機でのLaunch on Remoteと比較しても、機能面での優位性やシナジー/意思決定速度で差が出てくると考えます。
※空自が導入し始めたC-8型をD型と同じとする情報もありますが、C-8はC-7のマイナーチェンジ版で機能もそれに準じます。
Q.36 NIFC-CA FTAでの統合火器管制とF-Xのは何が違うのか?またF-35とイージスサイトでEoRを試験した際は空対空目標のFCPを作成したのでは無いか?
※回答を修正しました
A.36 質問者様の質問要旨は「既存装備で統合火器管制に似たコンセプトが見られるが、F-Xのそれは何が違うのか?」と思いますので最初に管理人の結論を述べます。
①F/A-18 blk3+E-2D+TTNT
→F/A-18 blk3が空対空のFCPを作れるか微妙なライン
→FTAの詳細機能も不明な点が多い
→FCP作成にはE-2Dを噛ます必要がある?
②F-35+MADL
→FCP作成に足るレベルのトラック情報を転送可能
→固定サイト等の低速な連携先はそれを基に射撃可能
→テスト事例やLMの発表からF-35間での統合火器管制は現時点では不可能?
③F-35+F-15EX+TTNT
→A.35からもEoR等は実現性が低い
①NIFC-CA FTAではF/A-18、E-2D、Link16、AMRAAMによって統合火器管制を構想しています。2014年時点では海軍担当者もTTNTによって火器管制に十分な質の情報を送受信できるとしています。しかしTTNTを装備するF/A-18 blk3について、ボーイング公式では以下のような表現になっています。
The Advanced Cockpit System includes a new 10 x 19 inch touchscreen display provides the pilot with the capability to see, track and target multiple long range targets generated by the common tactical picture.
即ちF/A-18 blk3で生成されるのはCommon Tactical Picture(CTP)であり、空対空でのFCP作成は明言していません。ただし引用内での"target"は、CTPからの情報で「目標を狙える=火器管制も可能=FCPの意味合いも含む」という可能性もあります。またFTAは空対空だけでなく空対地作戦も包括する概念のため、詳細(Forward Passの可否等)含め機能面で不明な箇所が多いのが正直なところです。
また先の海軍担当者はFTA(空対空)についてセンサーとシュータ間でE-2Dを中継させる構成を中心に回答しています。よって戦闘機間ではFCPを作成できず、E-2Dがデータを集約・作成したのを再配布する構成かもしれません。後述する通りF-35でもFCPレベルのデータの送信は可能ですが、戦闘機間ではFCP作成に至っていない可能性が高いため、FTAで統合火器管制が可能ならこの構成は比較的辻褄があいます。ただしキルチェーンの結紮点となるE-2Dに機能が集約され脆弱性を抱える問題があります。
②試験からもF-35がFCP作成に足るトラック情報を転送し、イージスサイト等がEoR等に利用できることが示唆されています。しかしF-35同士での統合火器管制(自機と外部トラックを統合したFCPの作成)はこれまでの試験やLMの発表からまだ実現されていないと思います。おそらく相対位置精度やそれに起因するFCS側の対応(固定サイトは動かず、NIFC-CAでの外部トラックの利用を前提としたFCSのためEoRが可能だった?)と考えますが詳細は不明です。A.34の日本防衛省の発表の他、LMが画期的な戦闘機間・空対空での統合火器管制を喧伝していないのも証左の1つです。
③仮にF-35がMADLを使用して統合火器管制が可能でも、F-15EXとの連接にはLink16系(Link16/CMN-4/TTNT)が必要です。A.35からもF-15EXとのEoRは考えにくいです。
ここまで書きましたが正直なところ米軍のABMSやGateway構想、TTNTの機能や普及度、F-35の詳細機能は管理人も追えきれていません。F-35含む既存機で統合火器管制を行うなら然るべき試験が実施されると思いますのでそれを待つべきと考えます。FTAについて先日、そのテストに関する支援役務が出ているためこれからの動向が注目されます。管理人のはあくまで1つの考えと思って頂ければ幸いです。
Q.37 将来推力レベルの13〜20tは世界的な推力分布であり、ハイパワースリムエンジン(HSE)たるXF9搭載型の推力を指したものとは言えないのでは無いか?
A.37 前者は全くもって仰る通りです。ただしXF9搭載型の推力は構想設計次第ですので現時点では不明です。
防衛技術シンポジウム2020の13〜20tの表記は、世界的にこれから開発される戦闘機用エンジンの推力トレンドを示しています。XF9の将来推力範囲ではありません。数年前に誤ってブログに書いたのをサボって放置してました。
一方、XF9-1はHSEと銘打たれてますが、推力が準ずるF119と比して規模はやや小さく、F100と同程度です。ただしF119と比べ14%の燃費低減を実現しています。
よってHSEとは絶対的な規模や推力表すものでは無く、高効率化による設計の自由度(同じ推力ならよりコンパクト/低燃費、同じ大きさならよりパワフル等)を指すものと考えます。
XF9搭載型の推力については構想設計での要求を満たす機体規模とエンジン推力次第です。個人的には航続距離/搭載量の観点から、XF9搭載型は推力含めF135のような味付け(当ページのXF9-1の項目を参照)もあり得ると思います。
A38. F-XはDCA/OCA両方の運用を遂行するのか?
Q38. DCAが主体ですが、OCAも遂行すると思います。
DCAについて、F-Xは空対空戦闘で航空優勢を確保する制空戦闘機を志向しています。基地数や効果から、基地攻撃による航空優勢の確保はあくまで補助的であり、全般防空の要はDCAになると考えます。機動性と搭載量を両立する機体、統合火器管制等のアビオニクスもDCAでの中核的な能力だと思います。
OCAについて、それを構成する戦力は攻撃隊1つとってもEscort/SEAD/DEAD/EJと多様です。攻撃目標も航空基地だけでなく補給拠点等も考えられます。
EscortとDEADに関しては、DCAに伴う空対空能力やF-2後継機としてのSoM運用能力を転用する形で遂行できると思います。一方、SEAD/EJはその専門性から、個別の能力開発(ARMや広帯域電波妨害装置の運用、SEAD用無人機との連携)が必要と思います。本職たるF-35の存在や任務比重を考えると、F-XへのSEAD能力/運用は優先順位が低いと思われます。
結論としてはF-XはDCAや対艦任務を主軸に、OCAはそれを転用する形で無理のない範囲で関わると考えます。
Q39. JAGUARは日英F-Xのレーダの共同開発or技術開発のどちらなのか?
A39. JAGUAR(次世代RFセンサ)はレーダ技術の共同開発であり、搭載レーダの共通化はまた別個の案件となります。
JAGUARは日英の知見を集約し、両国で1台ずつ計2台のレーダ技術実証機を作成する手筈になっています。搭載レーダ含むサブシステムの共通化の程度は、今年度からの共同分析の結果を待つことになります。
A40. JAGUARが従来のレーダと比べ画期的な点は何か?
A40. Q39.のように次世代RFセンサはJAGUARと同じ共同技術研究事業であり、2026年度終了のためこの技術を反映したレーダは量産初号機には搭載され、ギリ試作初号機に間に合うかレベルと考えます。特徴としては瞬間瞬間では一方向しか検知できなかったのが、当技術では演算量の許す限りの方向を同時に検知できます。
AESAレーダが位相制御で送信ビームの方向を次々に変える(電子走査)はよく知られています。一方、特定方向からの反射波を拾って探知情報とするには、レーダの指向性(最も感度の良い方向、受信ビーム)を任意の方向に設定する必要があります。
従来のAESAレーダは、任意方向から最も感度よく受信するため素子アンテナ毎の信号に適切な遅延をかけて1つの波形に合成していました。この合成波を受信機に送り目標情報かノイズかを判断します。この方式では素子アンテナ毎の信号情報は1つの波形に埋もれ、瞬間瞬間では1方向しか受信できません。ただし、例えば0.01秒毎に指向性を変えることで1秒間に100方向の走査(受信)を実現していました。
つまり従来レーダでは素子アンテナ自体は様々な方向からの信号を受信してますが、瞬間瞬間で受信機が探知情報として認識・形成できるのは一方向のみでした。
レーダ機能のみならまだしも、ESM等を実装すると話は違います。四方八方からの電波を拾うためには受信ビームをその都度形成する必要があり、ビームが細い(高精度)ほど時間がかかります。瞬間瞬間で1方向しか見れない故に重要な信号を逃したり、レーダ機能での受信ビーム形成ともリソースを食い合うためレーダ走査レートが低下する懸念があります。
そこでエレメントレベルDBFでは素子アンテナ(エレメント)毎に受信機を設け並列して重ねつけ処理をすることで瞬間瞬間で演算量が許す限りの方向を見れるようになります。これによってレーダとESMの同時作動や将来的な戦闘機間でのマルチスタティック探知が期待できます。また妨害環境を学習して妨害波到来方向に意図的に受信ビームのヌルを形成するなどECCM性の向上や、群目標に対し別個に走査せず広い送信ビームを送り受信ビームを細くして同時多数探知を行うなど様々な利点が考えられます。
※従来レーダでの合成波形による方式をAnalog Beam Forming、信号のデジタル並列処理方式をDigital Beam Forming(DBF)と言う。DBFでも素子アンテナ毎に受信機を備えてるとは限らず、複数の素子アンテナグループ毎に受信機を設けたものはサブアレイDBFという。
※送信時間(0.01秒)はあくまで例示、実際の所は知らない
※レーダの指向性について最も感度のよい方向をメインローブと言うが、その形成の副産物として方向が違いかつやや受信感度のあるサイドローブも発生する。サイドローブが大きい程所望方向以外(メインローブ以外)の信号がノイズとして紛れるため探知性能に悪影響が出る。
※妨害波も大出力であればサイドローブ程度の感度でも無理矢理ノイズとして受信させられる。これに対抗するため各ローブ間の特に感度が落ちる(ヌル)部分を向け妨害波の受信を防ぐのをAdaptive Beam Forming(ABF)という。
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