2020年11月

次期戦闘機【検討作業】
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本稿では主に次期戦闘機の開発が決定するまでの検討作業を述べる。主に2010年から2020年の10年間の事柄を記述する。
2020年度以降の開発計画は【開発作業】を参照


【目次】

・組織図
・前提
・全体の流れ
・目的・運用・性能
・コスト
・装備構想
・開発計画
・技術戦略
・代替案の分析

・海外との意見交換


【組織図】

 次期戦闘機の検討作業には航空自衛隊だけでなく様々な組織が関与している。[1]
 防衛省全体、内部部局、航空幕僚監部、防衛装備庁の組織図と役割を示し、検討作業の理解を深める。



・防衛省全体
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①防衛省内部部局
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内部部局の組織図
 
 防衛省内部部局(内局)のうち、防衛政策局は日本の防衛/安全保障に係る基本方針や政策の企画や立案、調整などの役割を担っている。以下に各課の所掌事務(次期戦闘機の検討と関連が持たれるもの)を挙げる。[2]

❶防衛政策課 
・国際機関及び外国の行政機関その他の機関との渉外

❷戦略企画課
防衛及び警備に関する中長期的な見地からの政策の
 企画及び立案並びに推進

❸日米防衛協力課
防衛の分野におけるアメリカ合衆国との協力の基本
 及び調整

❹国際政策課
防衛の分野における国際的な交流の基本及び調整

❺調査課
・各課の事務に必要な、情報の収集整理
・防衛及び警備に関する秘密の保全



②航空自衛隊/航空幕僚監部
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航空自衛隊内での空幕の位置づけ

 航空幕僚監部(空幕)は航空自衛隊の防衛及び警備に関する計画の立案に関する事務等を掌る。空幕は運用者側として次期戦闘機の検討を行う。画像には無いが空幕内部にも複数の課が置かれるため、次期戦闘機との関連を持つ所掌事務を以下に記す。[3]

❶総務課
・渉外及び広報

❷防衛課
・防衛及び警備の計画

❸装備体系課
・防衛及び警備の計画に基づく装備体系の計画
・防衛装備庁に対する航空装備品の技術研究及び研究
 開発の要求

❹情報課
・防衛及び警備の秘密の保全



③防衛装備庁
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 防衛装備庁(装備庁)は装備品の研究開発/調達/維持等を担当する。前身組織は技術研究本部であり、2015年に装備庁へと改編された。[4]
 2020年度からは次期戦闘機の開発管理を専任的に行う「装備開発官(次期戦闘機担当)」が設置された。[5]




【前提】

 次期戦闘機は航空自衛隊の装備品の一種であり、訓令によって開発に必要な手続きが定義されている。[6]
 この項目では手続きの概略を紹介し、後述する各作業の立ち位置を明確にする。

 空自における研究開発区分のうち、次期戦闘機は「兵器体系研究」に分類される。兵器体系研究の段階は構想段階、確定段階、装備化段階、運用段階がある。既存機の派生型の開発もこれに該当すると思われる。[6]

 本稿では主に構想-確定段階を中心に述べるため、装備化段階及び運用段階は省略する。また、黒太字の用語は別途補足を追加している。



①構想段階[6][7]

 まず空幕は「基本的性能等に関する調査」を実施する。必要に応じ開発集団はそれを支援する他、「基礎的運用研究」を実施する場合もある。

 総隊等(運用者側)は「将来の装備品等に関する検討」によって運用面から基礎的な検討を行い、将来装備への要望を作成し空幕へ上申する。

 空幕は前項の要望や上記の調査・研究を基に、「装備品等研究開発見積依頼」を作成し防衛装備庁に提出する。見積依頼は努めて早期の時期から開発品の概算要求年度の前々年度までに作成する。

 装備庁は空自と共に「装備品等研究開発見積り」を実施し、要求事項の精微化等を行う。なお、見積依頼での記載内容は多少粗くとも問題無いが、見積りによって最終的に実施計画並の精微化を図る。


兵器体系研究:航空防衛力整備構想に対応する兵器体系(中核となる装備品、関連人員、器材、施設、技量等の総体)及び既存の兵器体系に関する研究開発
基本性能等に関する調査:基本的性能、要求性能、技術要求事項等(装備品に係る仕様の細部技術的事項)に関する技術的な調査、分析及び検討
将来の装備品等に関する検討:将来保有すべき装備品の運用面からの基礎的な検討 必要性、運用構想、装備構想、機能性能等の概要を記した将来装備品への要望を作成する
基礎的運用研究:将来保有すべき装備品等の基礎的な運用に関する技術的な調査、分析、検討及び試験
装備品等研究開発見積依頼:各幕が作成する装備庁による研究開発の所要を明らかにした文書研究開発名称、運用構想、要求性能等を記載
装備品等研究開発見積り:見積依頼を基に装備庁が技術的リスクやその他分析を行う、研究開発の中長期的な見積り 研究開発要求の作成に資する 



②確定段階[8]

 空幕は見積りを基に、装備品等研究開発要求を策定し装備庁に提出する。開発要求は最終的な要求事項を定めており、開発品の概算要求年度の前年度に作成される。
なお、必要に応じ内容は修正できる。

 装備庁は見積り及び開発要求から、開発についての基本計画(開発の概要、概算要求の基礎)と実施計画(実施線表、詳細なスケジュール)を策定する。

装備品等研究開発要求:装備品の研究開発を求める所要の事項を記した文書 代替手段との比較も記載 
基本計画:概算要求の基礎となる研究開発目的、研究開発完了年度、研究開発総経費の見積り及び見積量産単価その他重要事項を記載した文書
実施計画:技術重要度、実施計画等を記した文書
 


直接取得[9]

 次期戦闘機は開発によらない既存機の購入も選択肢にあったが、訓令では「直接取得」にあたる。以下に直接取得の概略を示す。

 空幕は内局の整備計画局及び防衛装備庁との協議の上で運用要求書及び要求性能書を作成する。その後、同組織群は提案要求書及び評価基準書の各案を作成する。説明会などで企業からの意見を必要に応じ反映させ、提案要求書及び評価基準書を策定する。

 空幕は企業から提案書を収集・評価(評価基準書による)し、機種選定案を作成する。最終的に航空機選定諮問会議を経て機種の選定が決定される。

運用要求書:航空機の運用目的、運用構想、期待する主要性能その他の運用上の要求事項を記載した文書
要求性能書:前項を満たす性能についての要求事項を記載した文書
提案要求書:候補機種の性能、所要経費、後方支援体制その他事項を記した文書 外国企業/政府に提示
評価基準書:企業等からの提案書の分析及び評価に用いる基準を定めた文書



その他[10]

 開発見積りなどや提案要求書の作成など、検討段階では民間企業からの情報収集が必要な場合もある。その際は装備庁の担当室がRFT(情報提供企業の募集)及びRFI(情報提供依頼)の原案を作成し、調整会議による審議を経て正式に策定する。
 RFTはホームページで掲載され、提供意思のある企業別に説明会を行いRFIを手交する。手交したRFIに基づき情報提供が行こなわれる。



【全体の流れ】

この項目では検討作業と決定事項の主な流れを時系列で俯瞰する。国際協力も含めた2020年度以降の開発計画は【開発作業】を参照


2010年


・将来の戦闘機に関する研究開発ビジョン
(2009年12月-2010年8月)


 2009年12月、これまでのF-2の製造終了と防衛産業への影響の調査結果をまとめた「戦闘機の生産技術基盤の在り方に関する懇談会 中間取りまとめ」が作成された。この調査は防衛省と日本航空宇宙工業会(SJAC)の官民合同で行われた。[11]


 前項を受けた防衛省は、「将来の戦闘機に関する研究開発ビジョン検討作業チーム」を編成し、将来戦闘機コンセプトや必要な研究事項を整理した。
 このチームは内局(経理装備局、防衛政策局)、空幕、技術研究本部、統幕(オブザーバー)の課長級から構成される。
 この検討によって2010年8月には「将来の戦闘機に関する研究開発ビジョン」が公表された。将来戦闘機のコンセプトやF-2後継機に開発を選択肢として考慮できるよう必要な研究/検討を推進する方針等が示された。[12]


・中期防衛力整備計画(平成23年度~平成27年度)
(閣議決定2010年12月)

2010年12月に策定された23中期防では
「戦闘機(F-2)の後継機の取得を検討する所要の時期に、戦闘機の開発を選択肢として考慮できるよう、将来戦闘機のための戦略的検討を推進する」

とされ、中期防においても将来戦闘機の検討を推進する方針が示された。[66]


2010-2014年

・将来戦闘機官民合同研究会
(2010年10月-2014年3月?)

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将来戦闘機官民合同研究会のメンバー

 先のビジョンに従い、2010年10月には、官民の認識共有/戦略的な研究の推進/民の事業計画策定への資等を目的とした「将来戦闘機官民合同研究会」が設立された。研究会は防衛省とSJACで構成される。防衛省側の出席は上記画像の通りである。
 当研究会では主に将来戦闘機コンセプト、LCC、ロードマップ、開発体制、技術戦略、技術動向等をテーマとした。[13]

 研究会の進捗に伴い、2011月4月、技術研究本部は「総合検討部会」を設立した。これは本部内での総合的検討(省内の技術的検討支援も含む)、研究開発事業の情報共有の促進を目的とした。[14]

・中期防衛力整備計画(平成26年度~平成30年度)
(閣議決定2013年12月)

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 政権交代による自民党政権の誕生で民主党政権下の23中期防が廃止され、26中期防が策定された。[15]
 当中期防では将来戦闘機関連事業を継続する他、国際共同開発の可能性も含め検討し必要な措置を講ずると記された。
 26中期防の決定に伴い、2014年7月に内局/空幕/装備庁で構成される「F-2後継機に関する検討チーム」が設置された。[1]


2015年

・プロジェクト管理重点対象装備品
(選定2015年11月、計画策定2016年8月)

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 2015年11月には効率/効果的な取得を目的とし、重点的にプロジェクト管理を行う装備品(プロジェクト管理重点対象装備品)として将来戦闘機が選定された。2016年8月には取得戦略計画の概要が示された。[16][17]


2016年

・装備品等研究開発見積依頼
(2016年1月)

 2016年1月には次期戦闘機の「装備品等研究開発見積依頼」が策定された。見積依頼の概要は前章を参照[18]

・F-2の後継機となる戦闘機の実現可能な取得方法の検討
(2016年6月)


 2016年6月には将来戦闘機に関して第一回目のRFT(F-2の後継機となる戦闘機の実現可能な取得方法の検討)が公示された。新規開発、既存機の派生型の開発、既存機の購入について情報提供を求めた。[19]


2017年

・将来戦闘機における英国との協力の可能性に係る日英共同スタディに関する取決め

(2017年3月)


 2017年7月には防衛省と英国防省で「将来戦闘機における英国との協力の可能性に係る日英共同スタディに関する取決め」を締結した。[20]


2018年

・装備品等研究開発要求の策定見送り
(本来時期2018年3月)


 前提として防衛省は26中期防に則り、2018年度までに国際共同開発/国産開発に係る最終判断を行うとしていた。[21] 

 2016年時点では2018年度に開発に係る判断を行う予定であり、本来であれば2018年3月に装備品等研究開発要求を策定する予定であった。[22] [23] これは2019年度概算要求に開発費を計上するのと同義である(開発要求は概算要求年度の前年度に作成するため)。
 しかし、実際は開発費が計上されていない。

 開発要求が策定されたのは1年以上後の2019年9月である。[24] 結果として将来戦闘機の予算化は1年遅れることとなった。


・第3回目RFTの公示
(2018年6月)

 防衛省は2018年6月に3回目(2回目は2017年)のRFTを公示した。これにより一時期話題となったF-22とF-35のハイブリッド機等が提案された。(後述)[25][26]



2019年

・中期防衛力整備計画(平成31年度~平成35年度)
(閣議決定2018年12月)


2018年12月に策定された31中期防では
「将来戦闘機について、戦闘機(F-2)の退役時期までに、将来のネットワーク化した戦闘の中核となる役割を果たすことが可能な戦闘機を取得する。そのために必要な研究を推進するとともに、国際協力を視野に我が国主導の開発に早期に着手する」

との方針が示された。これによって既存機の購入は選択肢から除外された。[27]

・令和2年度概算要求
(2019年8月)

 将来戦闘機の開発費が事項要求として計上[28]

・装備品等研究開発要求の策定
(2019年9月)

 2019年9月には次期戦闘機の開発要求が策定[24]

・日米共同スタディ
(2019年9月-2020年5月)

 日米防衛関係者で将来戦闘機について協議[24]

・令和2年度予算の閣議決定
(2019年12月)

 次期戦闘機の開発費(構想検討)に111億円が計上、正式名称が次期戦闘機となり、派生機の選択肢も正式に除外[29][30]


【目的・性能・運用】

この項目では次期戦闘機の目的・性能・運用の検討及び変遷を時系列順に述べる。

①i3FIGHTER [12]

 研究開発ビジョンでは、将来戦闘機は航空優勢の確保に資するものであり、数的劣性下でも第5世代機に対処しうる次世代機として示された。それらを実現する戦闘・機体コンセプトを以下に述べる。

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 将来の戦闘コンセプトとして「i3FIGHTER」が提唱された。以下にその概要を示す。

・統合火器管制によるクラウドシューティング
・大型機や無人機とのネットワーク
・高出力レーダ/マイクロ波での瞬間撃破
・電子戦に強いフライバイライト(FBL)

による

情報化(informed)
知能化(intelligente)
瞬時に(instantaneousInstantaneous)

を特徴としている。高出力レーダ/マイクロ波や無人機の群制御は、配備時期である2030年代より後の2040〜2050年代の実現を目指している。

 また、ステルス機に対抗しうる、機体の質的な向上としてカウンター・ステルス・ファイターも提唱された。
以下にその概要を示す

・敵を凌駕するステルスと優位性の確保
・次世代ハイパワーレーダによる早期発見
・次世代ハイパワー・スリム・エンジン


②ビジョン後の初期的な検討-DMU

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 コンセプト検討にあたって、戦闘シナリオ/脅威機体/将来戦闘機等をモデル化し、戦闘シミュレーションによる検証を行った。
 検討初期ではX-2をスケールアップさせた機体を設定し、機体規模の目安を検討した。[31]
 2011年から2014年にかけては、「将来戦闘機機体構想の研究」を実施し、DMU(デジタル・モックアップ)を作成した。DMUは戦闘シミュレーションを通じて改訂され、23-26DMUが作成された。[22]

将来戦闘機機体構想の研究の詳細はこちらを参照
初期検討作業は当資料を参照



③要素研究

 要素研究は先のDMU(デジタルモックアップ)に基づき研究目標を策定している。また、研究に関する資料には機体構想に言及されているものもあり、それついてまとめる。

・数的劣勢化での対ステルス機の要撃や撃破[32]
・高いステルス性[33]
空対空戦闘に必要な機動性の確保[34]
ミサイルやステルス機への残存性[35]
・超音速巡航能力[36]
・高高度/高速戦闘能力[36]
・地上レーダなど各種アセットとの連接[32]
・ネットワークを中心とする防空体制の構成要素[32]
・ステルス機の探知[37]


④バーチャルビークル [38]


 2015年からはより運用構想や要求性能を明確化するため、「将来戦闘機の技術的成立性の研究」を実施した。
当研究ではデータ化された仮想上の機体であるバーチャル・ビークル(VV)を作成した。
 VVは任務分析や技術的なトレードオフ、RCS試験等に基づきコンセプト案毎に設定される。VVは戦闘シミュレーションによって検証され、LCCも含めた機体仕様の精微化を行った。

 なお、VVの任務内容として以下が想定されていた。

・第5世代戦闘機対処
・爆撃機等対処
・対艦攻撃
・対地攻撃
・電子戦対処
・非軍事任務



⑤現在



 空幕は将来の脅威や戦略環境を見積り、2019年9月には装備品等開発要求を策定した。[24]
 また、次期戦闘機の開発着手に伴いそのコンセプトが発表された。概ねi3Fighterのコンセプトを引き継いでる。
 ASM-3の搭載やマルチロール性を備えつつ、主として空対空戦闘を担うことが示された。[39][40] F-35より多いミサイル搭載量や幅広の機体など大型戦闘機であることが伺える。行動半径も重視する。[41][24]

 同盟国たる米国との連携も念頭にあり、2019年9月からの日米政府協議では相互運用性や脅威認識の共有がなされた。[24][42]
 相互運用性の観点から、次期戦闘機はインターオペラビリティ用含め3種類のデータリンクを搭載する。[24]

 防衛省内では無人機技術を重視しており、「脅威度を増す環境を念頭に、完全に無人機で対応すべきではないか」との意見も存在した。空幕内では「航空路が集中する沖縄で、無人機を用いたモニター越しのスクランブルは可能か」等も議論された。
 議論の結果、「2035年頃に実現する機体は無人化する必要はなく、有人機の方がメリットがある」との結論に至った。
 他方で、次期戦闘機の無人機との連携/組み込みは設計の要点として重視する。
 将来環境の不確実性に対応するため機器搭載スペースや発電力に余裕をもたせる。[43]

 なお、報道では機体構想や性能を報じたものがあり、それらを紹介する。

機体構想
・高い空戦能力を実現する案が有力[44]
・空戦能力と併せて長距離巡航ミサイルを搭載し
 高水準の対艦攻撃能力も備えさせる案も存在[44]

細部性能
1.最大速度はマッハ2[45]
2.F-35以上のステルス性、レーダ探知距離、航続距離[45]
3.8発のAAMを内装[45]
4.ステルス機を探知する非武装無人機の搭載[45]
5.運用に応じ空対艦ミサイルを外装しての対艦攻撃能力[45]
6.20tを超える空虚重量[46]
7.HPM装置の搭載を検討[47]
続きを読む

次期戦闘機【コンパクト版】

本稿では次期戦闘機の概要を紹介し全体を俯瞰する。本稿を手掛かりにより知りたい分野を選択し、各リンク先で詳細を確認して頂ければ幸いである。

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 次期戦闘機(じきせんとうき、F-X)とは航空自衛隊が保有するF-2の後継戦闘機である。国際協力のもと日本主導で開発されるステルス戦闘機であり、2020年開発着手-2035年の部隊配備を見込む。[1]

 構想段階では将来戦闘機という名称だったが、2020年度からの開発着手に伴い、次期戦闘機(F-X)に名称が変更された。[5]

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更新対象となるF-2

 F-2は空対空能力と高い対地・対艦攻撃能力を両立した戦闘機として開発された。単座型のA型と複座型のB型が存在し、3個飛行隊分・予備機・教育用・その他含め94機が調達された。[2]  改修で誘導爆弾や国産の空対空ミサイルの運用能力が付与されている。[3][4]


【前史】

 日本のステルス機開発はTRDIが策定した技術実証機構想(1990)に端を発する。同構想により高運動ステルス技術の研究開発が進められ、その成果は先進技術実証機(2009-2017)よって実証が進んだ。[6]

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全機実大RCS模型

 2000年代初頭から配備が始まったF-2はソ連崩壊による防衛費削減や調達価格の高騰を受け、当初調達機数から圧縮を重ね最終的に98機の調達となった。[2]
 調達機数の削減が国内防衛産業に与える影響についても官民で議論(2009)された。[7]

 2010年までの周辺国の情勢として、中国は経済・国家規模の膨張に伴い軍事予算は驚異的な増加を続けた。空軍戦力も拡張し、2008年の第4世代戦闘機の保有数は日本を上回り、2010年時点では第5世代戦闘機を開発中との情報も存在した。[8]

 ロシアは相対的な国力は低下したものの第4世代機は多数保有している。PAK FAの推進によりアメリカに次いで世界で2番目に第5世代戦闘機の初飛行を行うなど、未だ脅威は健在であった。[8]


【開発の検討】

 安全保障環境の悪化やF-2調達数削減による国内防衛産業への懸念を受け、防衛省は2010年8月に「将来の戦闘機に関する研究開発ビジョン」を発表した。

29

 同ビジョンは安全保障/産業基盤両面での現状を示すと共に航空優勢を確保する施策として上記画像のような「i3FIGHTER」を提唱した。[8]
 ビジョンに基づき各種要素研究や機体/運用構想、開発体制の見積もりを推進した。
検討作業の詳細は【検討作業】を参照


【要素研究】

以下に次期戦闘機の要素研究の概略を挙げる。

研究の詳細はリンク先を参照

(括弧)内の年表記は西暦表示であるが、期間は行政での年度に準ずる。
例:(2005-2007)は2005年4月1日から2008年3月31日



全体インテグレーション


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  DMU(デジタル・モックアップ)の一覧

将来戦闘機機体構想の研究
(2011-2014)
-DMUの作成と戦闘評価による性能/運用構想の概定
-要素研究での研究目標の設定も兼ねる[9]


将来戦闘機の技術的成立性に関する研究
(2015-2017)
-バーチャル・ビークルの作成と戦闘シミュレータによる 性能/運用構想の精微化[10]


将来戦闘機システム開発の実現性に関する研究
(2018-2020)
-バーチャル・ビークルの成果を活用し、コスト低減の追求や開発体制の検討に必要な技術資料を収集[11]


機体技術


15
ウェポンベイの風洞試験模型
 

先進技術実証機
(2009-2017)
-実機の設計/製造/試験を通じて、90-00年代にかけての高運動ステルス機技術を1つの機体として統合[6]


ウェポン内装化空力技術の研究
(2010-2015)
-超音速領域でのウェポンベイ周りの空力特性の把握[12]


ウェポンリリース・ステルス化の研究
(2013-2018)
-高速気流・高荷重環境でも兵装を射出可能なウェポンベイの実現
[13]

ステルス・インテークダクトの研究
(2014-2018)
-ステルス性と良好な空力特性を両立した屈曲インテークダクトの実現
[14]

シート型・塗料型電波吸収体の研究
(2011〜2013)
-ステルス塗料/シート技術の研究[42]

機体構造軽量化技術の研究
(2014-2021)
-一体化・ファスナレス構造技術による軽量化
-新たな強度解析技術による工数削減
-エンジンのヒートシールド技術による軽量化
[15]

電動アクチュエーション技術の研究
(2015-2019)
-電動アクチュエータの試作試験による省スペース化、整備性、ステルス性、抗堪性の向上
[16]

将来戦闘機用小型熱移送システムに関する研究(2016-2020)
-小型高性能な冷却システムの開発
-適切な冷却を実現する熱収支管理技術の確立[17]


エンジン

11

次世代エンジン主要構成要素の研究

(2010-2015)
-コアエンジン技術の研究[18]


戦闘機用エンジン要素に関する研究
(2013-2017)
-コアエンジンの試作試験及びエンジン低圧系の研究
[19]

戦闘機用エンジンシステムに関する研究
(2015-2019)
-実機エンジンの開発による高性能エンジン技術の実証
[20]

戦闘機用エンジンの適応性可能性向上に関する研究
(2019-2023)
-実機適用に向けた低燃圧燃焼器や補機の研究[21][42]


推力偏向ノズルに関する研究
(2016-2023)
-高機動性を実現する3次元推力偏向ノズルの開発[22]


アビオニクス

323a9e78
(2010-2018)
-高性能レーダ/IRST及びセンサ統合技術の研究[23]

(2014-2018)
-高精度なFLIR及び画像ブレ処理技術の研究[24]
(2013-2018)
-全天球警戒/妨害が可能な電子戦システムの開発[25]

(2012-2020)
-赤外線を用いたMWSの開発[26]

(2015-2020)
-良好な電波特性とステルス性を両立したレドームの開発
[27]

-OA化されたレーダ/データリンク/火器管制装置をFTBを用いて連接・機能実証を行う[28]

(2020-2025)
-新型素子とノイズ処理技術を適用したIRST技術の確立
[29]

(2012-2022)
-クラウドシューティングを実現した火器管制装置の研究
[30]




2010年以前の研究は案内所の研究開発(1)に記載している
無人機に係る取組は無人機関連(1)無人機関連(2)を参照されたい




【開発の着手】

 26中期防の期間において、F-2後継機は開発体制を含め以下の選択肢を軸に検討が進められた。[31]

・国内開発or共同開発   → 新型機or派生機
・既存機の購入      →   既存機

 なお、派生機にはF-22とF-35のハイブリッド機、F-15の改良型、タイフーンの改良型の3つが提案された。[31]
 将来の航空優勢の確保、改修の自由度、国内企業の参画、現実的なコスト、次世代技術を適用できる拡張性 の5つの観点から各選択肢が検討された。[32]

 2018年末に発表された31中期防では「国際協力を視野に、我が国主導の開発に早期に着手する」との方針が明記され、既存機の購入は選択肢から除外された。[33]
 2020年度予算ではF-2後継機の開発予算が計上され、新型機の国内開発が正式に決定された。[34]

開発までの流れは【検討作業】を参照
ロッキードのハイブリッド機はLM案の追憶を参照


【開発体制】

 開発体制としてシングルプライム方式を採用する。(国は機体担当企業-プライムのみと契約し、プライムが各構成品の担当企業を下請けとして開発を取りまとめる)[35]
 2020年10月には三菱重工がプライムに選定された。同年12月にはインテグレーション支援企業候補としてロッキード・マーチン社が選定された。
 2021年度からは米国装備品との相互運用性に向けた研究も開始される。[43]

 2020年1月にはMHIを中心としたF-X開発チーム(FXET)が結成され設計作業を開始した。[44]

開発体制の詳細は【開発作業】を参照
英米など外部の動向は【提案】〜【思惑】を参照



【開発手法】

 開発リスクやコストの低減から以下のような開発手法を取り入れる。[36]

❶ブロック化開発による段階的な開発プロセスの推進
❷オープンアーキテクチャー(OA)の採用によるアビ
 オニクス開発作業の効率化
❸モデルベースドデザインや先進的な製造技術の取り込み等による開発の効率化
❹国際協力で更なる技術的信頼性向上やコストの低減

こちらも詳細は【開発作業】を参照



【機体の特徴】

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次期戦闘機のコンセプト

 上記画像のような機体コンセプトが発表されている。
全体としては航空優勢の確保を重視する。F-2後継機として対地対艦能力などマルチロール性も併せて備える。
 無人機との連携など将来技術の対応も言及されている。[37]

機体構想の変遷は【検討作業】を参照



【運用構想】

 広大な領域に対し基地の数が少なく、より遠方で敵を迎撃するべく航続距離や滞空時間を重視する。数的劣勢やステルス機に対処するため同盟国も含めたネットワーク戦闘を展開する。[38]

運用構想の変遷は【検討作業】を参照


【配備計画】

 2031年に量産に着手し2035年頃の部隊配備を見込む。現在はF-2の置き換えのみであり、報道ではF-2と同じく100機前後の調達としているが防衛省から正式な導入機数は発表されていない。[39]

配備計画の詳細は【検討作業】を参照


【年表】

・1990年
  ○技術実証機構想を策定

・2009年
  ○先進技術実証機の開発に着手

・2010年
  ○「将来の戦闘機に関する研究開発ビジョン」公表

・2016年
  ○先進技術実証機が初飛行[40]

・2018年
  ○31中期防で「我が国主導の開発」を明記

・2019年
  ○次期戦闘機開発予算が承認

・2020年
  ○MHIを機体担当企業として選定
  ○LMがインテグレーション支援企業候補に
  ○FXET結成及び設計作業開始


2020年までの流れは【検討作業】
2020年以降は【開発作業】を参照


【仕様】

後日追加予定

検討中のものは【開発作業】を参照











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