F-X報道の整理



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議員側提案による国際協力(案)





0.はじめに

2020/7/7、大手メディアが一斉に次期戦闘機(F-X)の記事を発表した。

F-Xのスケジュールなど新情報が数多く伝えられたが、各社毎に内容に差異が見られる。

そこで、本稿では7/7付近の報道に絞って事実関係を整理する。

「F-Xの現在」について理解の一助になれば幸いである。









1.国防議連の開催

事のきっかけは、7/7に自民党本部で自民党国防議員連盟(国防議連)が開催されたのが挙げられる。

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国防議連の様子

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防衛省装備庁長官、審議官の
レクを受ける国防議連の議員


国防議連ではF-X開発状況が議論された。 
防衛省職員も出席し、開発状況や今後の予定を説明した。

佐藤正久議員は事務局長として、F-X開発での主導権確保の重要性や国際協力体制(案)を提示した。



同議連での議論が(恐らく)議員経由で報道各社に伝わり、7/7の報道に至った。










2.防衛省の説明

報道から、防衛省による「F-Xの現在状況」を整理する。


①今後の全体スケジュール(西暦)

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判明しているF-Xのスケジュール(筆者作成)



・20年度末までに開発協力体制含め、全体
 の開発体制を固める

・20〜27年度に構想検討、基本設計、細部
 設計を実施

・24〜32年度に試作機を製造

・27〜35年度まで地上試験

・28〜35年度まで飛行試験

・31年度にF-Xの量産開始

・35年度からF-Xの部隊配備開始




②直近のスケジュール(20〜21年)

・7月中に国内企業との契約形態を確定
別報道では契約形態として、プライムの
 選定、共同企業体、特別目的会社 の3つ
 を検討と報じている。

・契約企業の選定は、随意契約なら10月、
 総合評価方式では21年1月までに決定



③海外との交渉

・米国とは相互運用性、協力分野、企業間
 の協業体制を議論 

・MHIと米企業3社を交えて協議

・英国とは開発協力や開発費の分担可能性を
 検討

・交渉中の米企業はロッキード・マーチン、
 ボーイング、ノースロップ・グラマン

・英企業4社とも交渉中









3.議員の提案(注意⚠)


国防議連では防衛省による説明だけでなく、議員側からも開発状況の分析や要望が出された。

以下に佐藤議員が提示した資料を示す。


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インテグレーションの意義、国際協力(案)
防衛省資料を基に議員側が作成・提言


要約すると

・機体の主要部(ステルス、センサ、戦闘
 システム等)の開発製造は国内で実施

・相互運用性は米国の支援を受ける

・エンジン開発は英国の協力も視野

・何れの形態でも日本側が主導権を握る


この提示された資料はあくまで「防衛省資料を基にした『議員側の提案』である。防衛省の意向ではない。

防衛省資料からの引用は「コンセプト」及び「関連研究」の項目であり、「国内開発の可否」「取得方針」は独自作成である。
※取得方針等は、防衛省が検討中している事項である。
現段階で防衛省自身が方針をある程度明記した資料を配布するのは考え難い。



更に根拠として、佐藤議員のブログでは

「佐藤は、事務局長として、(中略)機体やエンジンのインテグレーションの分析を提示。」

と議員側から提案したものと述べている。


また、防衛省による交渉状況の説明では

「米軍との相互運用性のシステム構築は米国、また、開発費の分担やスケールメリット等の観点から英国との協力も検討中である。」

との記述であり、エンジン開発については特に明記していない。





毎日産経の報道では「議員側の提案」を主語に入れず

「主要部は国内開発、相互運用性は米国、エンジン開発に英国の協力を視野(とする案も出た)」
※内容は意訳

と記述しているため、誤解を招きかねない。







4.エンジン開発と海外協力

余談ではあるが、議員側の提案として報道に上がった「エンジン開発の協力」について、過去の報道や資料をまとめていく。





同記事内では、自民党国防族議員による研究が生産数の増加や単価を抑える方策として、「レーダーやエンジンを含む中核部品の外国との共同使用」を挙げている。


議員側の「エンジン開発で英国協力も視野」という案も、ある意味では1年以上前の方策の延長線上にあるのかも知れない。





ロールス・ロイス(RR)の上級副社長は、テンペストのエンジン開発での日本企業の連携について

「現時点では不明だが、連携は否定しない(意訳)」

と述べている。




画像からも、F-Xエンジンの国際共同開発を目指すとある。どの国を想定しているかは不明である。




RRの防衛部門担当は、DSEI JAPANの懇談会で

「テンペストのエンジン開発で日本との協力を強化するのは自然な流れであり、コアエンジンの小型化などで日本の技術は不可欠」

と述べた。

テンペスト計画で日本を重要なパートナーとして交渉している背景もあってか、18年より踏み込んだ発言をしている。






5.参考資料