研究開発詳細(1)
 
 研究開発詳細(1)では2010年に発表され、初めて明確にF-2戦闘機後継の選択肢として必要な研究を明記した「将来戦闘機に関する研究開発ビジョン」より以前の、事前の研究開発について述べる。

 «コラム»は明確な出典が無いが個人的に興味深い事象について取り上げるため、資料性は担保しない。
ビジョン以前の研究は、公式としては将来の戦闘機開発の技術蓄積が主眼であり具体的な装備品のニーズに沿ったものでは無かった

«飛行制御関連(1)»

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  1. 高機動/自己修復飛行制御システムの研究
  2. 自己修復飛行制御システムの研究
  3. 将来操縦システムの研究
  4. 高運動飛行制御システムの研究
  5. 電動アクチュエータの研究



[高機動/自己修復飛行制御システムの研究]


«概要»
失速域での操縦性・安定性と、システムの耐故障・損傷性の確保に関する研究。基礎的研究は1986年から行われていた。



[自己修復飛行制御システムの研究]

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1995〜(2006)年
※ここでは2000年までの試験について述べる

«概要»
耐故障・損傷性を有する飛行制御システムの研究



«背景・目的»
飛行機の安全性を確保するため、舵面の故障や損傷が発生しても、飛行を維持する必要がある。このため、ロバスト性に優れる飛行制御システムを研究する。

また、戦闘機など小型高性能機でのポストストール機動等の実現には、推力偏向による飛行制御の研究が不可欠であった。

※ロバスト性:外乱や機体特性の変化が生じても、安定性・制御性の
劣化を防ぐ頑健性のこと




«詳細»
目標の実現のために下記の①〜③についての研究が行われた。

①舵面等の故障・損傷及び高迎角飛行領域での、空力
 特性の変動に対処できる飛行制御則の設計

②舵面の故障・損傷を補償する、舵面使用方法の
 再構築

③空力舵面制御・推力偏向を最適に制御する、
 再構築飛行制御機能を持つ、制御則構成の設計

③推力偏向制御による、高仰角飛行領域での高機動
 機体の運動制御

 
飛行制御アルゴリズムや評価法に関する基礎的研究(86年〜)の成果を検証するため、95年より自己修復飛行制御システムの設計が開始された。

性能確認試験(97〜98年)ではコンピュータ・シミュレーションによる、自己修復飛行制御システムのロバスト性に関する試験を行った。




機体の墜落時のきりもみ特性の計測のため、通常の
風洞と異なり垂直方向への気流を発生させられる。
通常の風洞のように水平方向への気流の発生も可能。


各技術の妥当性評価のため、動的風洞装置が試作され、2000年に試験を行った。動的風洞試験装置は垂直兼用風洞を用いる。

動的風洞試験装置には動的風洞模型がある。以下にその特徴を記す。





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防衛技術シンポジウム2009で展示された
動的風洞模型の本体

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模型本体の尾部
高圧空気噴出口と推力偏向パドル、
左右ボディフラップが確認できる



動的風洞模型は

・カナード
・主翼前縁フラップ
・主翼後縁フラップ
・垂直尾翼
・尾部横のボディフラップ

の左右各2箇所・合計10個の舵面を備える。また、尾部に垂直偏向パドルも有する。





試験時は模型背部にアンビリカルケーブルを接続する。
ケーブルは制御装置と模型に電気的接続を与え、模型のセンサからの飛行情報と制御装置からの制御信号を伝送する。

また、模型にはケーブルから高圧空気が供給される。
高圧空気は模型尾部の高圧空気噴出口から噴出し、推力として働く。

模型は風洞風路外に逸脱しないよう、外部装置による全自動の位置計測と姿勢制御が行われる。

 



試験当初、模型は胴体部を貫通する主支持棒により安定化され、下記(a)(b)の形態で飛行運動を模擬した。
これによって設計された制御則の妥当性を確認した。


本装置の特徴としてフリーフライトが挙げられる。
模型は(b)の形態で固定され、姿勢制御やトリム状態を確立し、主支持棒が急速降下しフリーフライトに移る。
フリーフライト時は模型は風洞内で浮揚し、外部からはアンビリカルケーブルと接続されるのみである。
フリーフライトは、(a)(b)の形態で制御則の妥当性を確認した後に実施された。



試験の結果、風速22.4 m/s、迎角約30 degで約70秒間のフリーフライトを実現した。
ケーブルからの抗力で自由大気中の飛行とは異なる運動特性とはなるが、実空力下での自己修復飛行制御システムの妥当性を評価した。




 
«まとめ»
MHIが主契約者となりTRDI第3研究室と共同で行われた当研究は、通常飛行時の通常迎角と高機動時の高迎角を想定した試験において自己修復飛行制御システムの妥当性を確認した。また、動的風洞試験の試験方法の指針を得た。






«コラム:幻の TD-X ?»

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jane'sによるTD-Xの実機イメージ
外見は前述の動的風洞模型と類似している

一部メディアによると、2000年代前半にXF3-400を2基搭載したTD-X(Technology Demonstrator eXperimental)という双発実証機を作るという情報が存在した。
ステルス性や光信号化された操縦システムを備えた、F-15Jの後継機に向けての研究の1つだったという。

しかし、実際にはそのような機体は製造されておらず、防衛省/庁の資料にも該当する情報は存在しない。
何故そのような情報が出現したのか・関係者の認識はどのようなものだったのかも含め謎に包まれている。






[将来操縦システムの研究]

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1992〜1999年

«概要»
航空機の油圧系統の高圧化や操縦信号の光信号化(FBL/フライ・バイ・ライト)を図った操縦システムの研究

«背景・目的»
将来の操縦システムとして航空機の油圧系統の高圧化による軽量化や操縦系統のFBL化による小型化を図った研究。

操縦系統のFBL化は1978年より基礎的検討が開始された。油圧系統は1985年の航空機用8000psi油圧システムの研究で負荷能動制御型の高圧油圧システムが検討された。

1988年からは光信号系と負荷能動型高圧油圧システムとを統合し、航空機用光油圧操縦システムの研究として総合性能の確認を行った。

«詳細»
 1992年からは操縦桿から舵面制御アクチュエータまでの一系統の将来操縦システムの研究試作に着手した。1995年からは3本のアクチュエータを同時制御する将来操縦システムの研究試作に着手した。また、油圧システムは従来の3000psiから8000psiへの高圧化が図られた。

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将来操縦システムの地上リグ試験装置

«まとめ»
 研究試作によりアクチュエータの同時制御を行う将来操縦システムのシステムの成立性の見通しを得た。油圧系統の高圧化により従来比で約20%の見通しを得、操縦系統の小型軽量化に資するものとなった。

 この成果は1997年より着手された次世代操縦システムの研究に反映された。(ここでは、次世代操縦システム自体は将来操縦システムの研究として一括にして紹介している。)

 後に高圧油圧システムは後述する高運動飛行制御システムの研究にも採用された。FBLはP-1哨戒機で全面的に操縦系統として採用となった。2010年時点で電磁波の影響を受けない操縦システムとして直ぐに将来戦闘機にむけての開発移行が可能なレベルとされた。



[高運動飛行制御システムの研究]

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2000〜2008年

«概要»
 電波、可視光、赤外線などへのステルス性やエンジン・舵面の統合制御技術( IFPC: IntegratedFlight Propulsion Control)を適用した高運動飛行制御技術の研究

«背景»
 高運動性とステルス性の両立という、相反する要求が将来小型航空機に要求される。

 これを達成する為に電波・可視光・赤外線などへのステルス技術や、エンジン制御と舵面による空力での飛行制御を統合した IFPCなどの成立性、有効性を地上試験で確認する必要があった。

«詳細»
 開発にあたってはMHIが主契約者となりMHI、KHI、SUBARU、IHIの重工4社の最大50人の設計者による体制で開発が推進された。TRDI側は技術開発官第3開発室が機体の細部仕様や研究コスト管理、及び研究スケジュールの確保を重点として研究業務を推進した。


 研試(1)では高運動性とステルス性を有する小型航空機のシステム基礎構想を策定し、それに基づくリグ試験構想を策定した。また、この時に試作された推力偏向パドルはアフターバーナー付き実証エンジン(XF5)の 2200 ℃以上のエンジン噴流に所要の時間、直接挿入されることから高熱性に優れたインコネル材を用いた設計である。

 2003年からの所内試験ではIHIの瑞穂工場において投入された1枚の推力偏向パドルが偏向時に実証エンジン1号機のエンジン排気温度・圧力環境に耐えられることを確認した。この際に実証エンジンの推力が目標値に達しなかったため、耐圧性能については解析を含めて確認した。

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推力偏向パドルと推力偏向機構

※パドルのギザギザの形状は、IRステルスの一環としてパドルでエンジン噴流を攪拌することによるIR低減効果を把握するための風洞試験及び熱流動数値解析を行いその結果を反映させたものである。
また、可視光へのステルス性として縮小模型を用いた視認性に関する試験を実施し,コントラストを変化させることにより視認性を制御するた
めに必要となる照明デバイスの必要輝度検討を実施している。


研試(2)と研試(3)ではIFPC技術を適用した高運動飛行制御について、この実現に必要な機体とエンジンの適合性に関する資料を得るため実証エンジンを搭載し、高運動性及びステルス性を有する超音速小型航空機システム基本構想を策定した。その結果に基づいてリグ試験構想を策定した。

また、ステルス性を考慮しつつ高迎角・高速時にエンジンが不安定とならない機体のインテーク設計を実施し、低速飛行模擬用ディストーション・スクリーンと高速飛行模擬用ディストーション・スクリーンを試作した。
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高迎角時のインテークダクト内の気流の乱れ
エンジン入口にディストーションプレートを配置
※ディストーション・スクリーンとはインテークによるエンジン前面での空気の乱れを模擬する装置である

2005年からの所内試験は札幌試験場においてエンジン適合性試験が行われた。先述の2種類のスクリーンを用いてインテークが発生する気流の乱れを模擬し実証エンジンが健全に作動することを確認した。ディストーションプレートが配置された箇所は圧力が低下している。

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耐ディストーション耐性の評価

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試験が行われた札幌試験場

 
研試(その4)ではステルス性と高運動性を両立させる機体形状を検討し、機体形状の電波反射特性に関するデータを取得するため、全機実大RCS試験模型を設計・製作した。

 また、飛行制御システム基本構想及び飛御システム基本仕様を策定するとともに、IFPC機能の成立性を確認する試験に供する、FLCC(Flight Control Computer)及び
ACC(Actuator Control Computer)と上記画像の推力偏向機構を設計・試作した。


 機体形状設計においては

・電波ステルス性と高運動性の実現
・機体上のエッジからの反射を一方向に集約
・前方からの最大の散乱源であるインテーク
 ダクトのステルス化
・コックピット内部の機器、パイロットから
 の乱反射の低減
・機体表面外板からの反射の低減

の実現に重きを置き

・高迎角領域でのトリム飛行が可能となるよ
 うな形状設計
・機体のエッジ方向の統一と直交面の削減
・ダクト壁面への電波吸収材の使用
・ダクトの湾曲化
・視認性も両立したITO(Indium Tin Oxide)
 コーティングの風防、キャノピへの適用
・外板の大型化とフレームレス化による隙間
 の減少、表面をメッシュで被覆

などが施された。

02
設計された機体の三面図

 全機実大RCS模型については、研究の初期段階では,全機形状の1/10の縮小模型を使ったRCS計測やインテークダクト、構造物、装備品などの機体部分を実大サイズで計測する試験を実施した。そして設計した機体の詳細形状まで含め,各要素の複合による電波特性を全機レベルで総合的に把握するために全機の実大模型を用いたRCS計測を2005年に実施した。

 全機レベルでの計測を実施するに当たり、国内に計測可能な施設が存在しないためフランス装備庁(DGA)の CREAR SOLANGE(大型電波暗室)において、電波反射特性データを取得した。試験は屋内設備の中で行なわれケブラーロープ4本で懸架した実大模型に対して電波を照射し、供試体からの反射波を受信アンテナで受信することにより電波反射量を計測した。

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全機実大RCS模型
※本事業の終了後はお役御免となったように思われる本模型だが、2017年以降の「ステルス評価装置の性能確認試験」では本模型を用いたRCSの静的計測を行うという。小型航空機、艦艇、車両等の対レーダ被探知性を評価し、将来の戦闘機等の残存性向上に資することをねらいとし、小型航空機等のレーダ反射断面積(RCS: Radar Cross Section)の屋外計測・評価手法に関する技術資料を得る目的で行われる。

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フランスで試験を行う全機実大RCS模型

 IFPC機能の実現の為にFLCCはエンジンコントローラである FADEC(Full Authority Digital Engine Control)と機能連接を実現している。
推力偏向パドルはFLCCと連接したACCと機体に装備されたアクチュエータよって駆動される。油圧システムであるアクチュエータは5000psiの高圧化がなされている。

 舵面駆動系統も同様に高圧油圧化されたFBW(Fly By Wire)技術を採用しているが、前縁フラップ駆動系にはFBL技術が適用されている。
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試作されたFLCCとACC

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操作系統の全体図
1枚目左下画像は全機実大RCS模型の後部

 2007年からの所内試験では浜松基地のエンジン・テストセルにて、推力偏向機構/IFPC 試験として推力偏向成分を計測した。3枚のパドルを実証エンジン噴流に投入しパドル操舵による推力偏向能力、耐熱性、耐久性を確認した。また、パドル・アクチュエータが正常に作動することを確認した。

 更に、クローズドループ ・シミュレー ションによりIFPC機能の成立性を確認し試験結果を反映し、実飛行条件における高迎角飛行領域での縦機動時の機体運動を推算・設計目標を満足することを確認した。

00
推力偏向試験時の様子


 研試(その5)では

・高迎角域での飛行特性
・先進エアデータ・センサ機能
・失速遷移領域近傍における空力特性
・耐故障性・損傷性を向上させた自己修復飛
 行制御機能におけるアルゴリズム設計手法
 の妥当性

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先進エアデータセンサの概要

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自己修復飛行制御
舵面Dの故障を検知し他の舵面で
補償するような飛行制御の再構築を行う


などに関する技術データ取得を目的とした。
これらの取得のために無線操縦により飛行可能かつステルス性・高運動性を有する機体形状を持つ22%スケールモデル、および専用地上装置を試作した。スケールモデルは研試(その4)までに設計された機体形状と同一である。また、自己修復飛行制御機能の概要については先述のとおりである。

23
22%スケールモデル

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スケールモデルの諸元及び機能

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飛行を行うスケールモデル

 飛行試験は北海道大樹町多目的航空公園で行った。試験は2007年9月3日から11月2日まで2ヶ月間で33回行われた。

 自己修復飛行制御の試験ではラダー・水平尾翼・外/内弦フラッペロンの固着もしくは欠損を想定した試験が行われた。

 先進エアデータセンサの試験では目標迎角時でのエアデータを取得した。

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試験の概要

57
自己修復飛行制御の試験

08
試験ケース

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エアデータ取得試験

上記の技術データの取得や機能の確認を行った。最後の33回目に予期し得ない風向の変動と逆光による操縦者の機体姿勢視認困難により墜落、大破したが、いずれの機能も良好なデータを取得した。

 研試(その6)ではインテークダクトの電波反射を低減させるレーダ・ブロッカの成立性を検討するため、レーダ・ブロッカの基礎設計を行うとともに電波反射特性に関する技術資料を得るための供試体を試作した。

 所内研究の低被観測性試験ではエンジンファン付近においてレ-ダ・ブロッカを取り付けた形態でRCS値と取付による空力特性の変動を計測し、ステルス性に有効であることを確認した。

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試作されたレーダーブロッカ

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実証エンジンの入口に取付けられたブロッカのイメージ

«まとめ»
 本研究において、低被観測性及び高運動性を兼ね備えた将来小型航空機を実現するために必要となるステルス技術に関しては設計した小型航空機が欧米の代表的なステルス機に匹敵するステルス性を有することを全機実大模型計測により確認した。また推力偏向機能を備えた高運動性を実現するための操縦系統の地上試験装置の設計・製作を行い,FBL /高圧油圧機能を含めたエンジン飛行制御統合技術の地上実証を実施した。

 飛行試験では先進エアデータセンサの成立性が確認され、自己修復飛行制御は舵面故障でも飛行特性を正常時相当に復帰させることが可能であり、その有効性を確認した。

 この研究成果は後の先進技術実証機へと反映されることとなった。



[実証用自己修復飛行制御システムの研究]

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2002〜2003年

«概要»
 フラップや方向舵などの舵面が壊れても、制御プログラムを修正して安全に飛行を続けられる自己修復飛行制御システムの研究

«補足»
 当システムの概要に関しては前述の通りである。この研究は実施時期的に前述の飛行試験を行った22%スケールモデルで試験された制御システムと同一だと考えられる。



[電動アクチュエータの研究]

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2004〜2006年

«概要»
   戦闘機の機動性向上等を図るため、アクチュエーションシステムを小型軽量化する技術について研究し、舵面制御技術に関する技術資料を得る。

«目的・背景»
 従来は舵面駆動を油圧アクチュエータを用いていた。しかし、油圧系配管は機内容積の圧迫や整備性の低下を招いていた。

 そこで、小型高性能機の舵面駆動を小型軽量な電動アクチュエータによって代替(PBW: Power By Wire)し、操縦システムの軽量化や整備性の向上等に寄与する研究。

«詳細»
 本研究ではPBWの代表的な形式のひとつであるEHAについて研究が実施された。

 従来は機内に油圧配管を通す必要があった。EHAでは油圧系を舵面部に局所化し、機内の油圧配管を廃する事が可能になった。

 構造としては、電動モータと油圧ポンプ、シリンダ等から構成される。油圧ポンプに直結された電動モータの回転速度を正逆両方向に制御することにより、シリンダへの吐出油量を変化させてシリンダの位置制御を行う。

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従来の油圧アクチュエータとPBWの主な形式
EHAは固着し難いなどの利点が存在する

 研究の初期段階では以下のEHA構成要素について試作及び試験を行った。

・電動モータ
・油圧ポンプ
・シリンダ

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試作されたEHA要素モデル

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電動モータの主要諸元

 試作した要素モデルでは電動モータのコイル及び回転数検知センサを3重とし、それぞれ独立のモータドライバにより制御する。油圧ポンプ等は1重構成で定格圧力は21MPa(3000psi)である。


 試験では舵面アクチュエータとしての基本
的な性能である

・舵角特性
・無負荷最大作動速度
・最大出力等

を計測する性能試験と、負荷状態において各種作動を行い電動モータの温度上昇(発熱)に関するデータを取得する負荷作動試験を実施した。

 試験の結果、試作したEHA要素モデルは今 回設定した要求値を満足し、舵面駆動アクチュエータとしての基本的な動作に問題はないことを確認した。

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性能試験試験で得られた要素モデルの主要性能

要素モデルの試作及び試験により舵面駆動用EHAに関する技術的な基礎を確立した。また、モータの発熱に関しても今回の供試体に関して所要のデータを取得することができた。

 第2段階として実機搭載を想定し、各構成要素を一体化するなど小型軽量化を図った供試体を特別研究にて仮作した。舵面駆動に必要な機能・性能等の実現に関する技術資料を取得した。

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試作された電動アクチュエータ

 また、航空機の電動化の実現に必要となる電源システムについて、高電圧電源システム供試体を所内研究にて仮作し、電力変換機能、電力遮断機能及び回生電力処理機能の実現に関する技術資料を取得した。

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試作された高圧電源システム

«まとめ»
 電動アクチュエータの成立性について見通しを得た。